Vágyakozás / Lalli

Split(2009)/Style:ペイガン

Hunok
Ancestors Blood

【Track】
—Hunok—
1.Vágyakozás I (Yearning Pt. 1)
2.Vágyakozás II (Yearning Pt. 2)

—Ancestors Blood—
3.Blood in the Snow
4.Lalli

【Review】
ハンガリーのペイガン・ブラック【Hunok】とフィンランドのペイガン・ブラック【Ancestors Blood】のスプリット音源。Tour de Gardeからリリース。各バンド2曲づつ提供されており、トータルランニングタイムは20分弱。生粋のペイガン・ブラックマニアへ向けられたスプリット音源。

【Hunok】/Vágyakozás

Gábor ZselenczとWinterheartによる二人組ブラック・メタル。Nonestなるセッションメンバーが一人参加している。

典型的なペイガン・ブラックをベースにしたフォーキーな味わいのあるインストゥルメンタルが二曲続く。ノイジーなギターでゆったりと繰り広げられるペイガン・ブラック・サウンドにクリーンギターや民族風リズムを取り入れた何処か寂しげでありながら力強さもある楽曲を披露。

ヴォーカルレスなのと二曲だけという事もあって食い足らなさはあるモノの、古の情景や情緒は背景を理解せずともちゃんと伝わってくるので趣みたいなモノは感じ取れる。ブラック・メタル的な邪悪さや激しさといった表面的なキャッチーさは皆無なので素朴なサウンドに終始している。

一応はPagan Dark Ambientとの事だが、割と聴かせどころがハッキリとしているので、インストゥルメンタルとしても聴きやすいのではなかろうか。#2”Vágyakozás II”がコノ後に大規模な戦闘が起きるんだろうな、と想像させる”嵐の前の静けさ”的な感じがGood。

【Ancestors Blood】/ Lalli

【Kadotus】のメンバーが演っている三人組ペイガン・ブラック・メタル。

素朴なシンセが主旋律を担いながら淡々と進行、バックでジリジリとしたギターがハモり、一体何を語っているのか寸分も分からない程にしゃがれたヴォーカルがじっとりと絡む…とまぁこの手ではよくある典型的なスタイルと言えようか。特筆する…とまでは行かないが(笑)しっかりと緩急を付けたドラミングが地味にいい仕事をしているのがなかなか印象深かった。

ミドルチューン(スローかも)主体なのと、ダイナミックに曲が動くタイプの楽曲ではないので、即効性やフックといった面では少し弱めに感じたが、このバンドも方法論は違えど【Hunok】同様に素朴な味わいを醸している路線であり、ペイガン・ブラック・マニアには心をくすぐる二曲に仕上がっているかと思う。

個人的にはバックでジリジリ鳴っているだけのリフにもうひと工夫欲しい気もするが、まぁ言うだけ野暮ってもんだろうな(笑)実は勉強不足ながらこの音源しか彼らの音には触れていないので、機会があればフルレングスを聴いてみたい。きっと、演ってる事はそう変わらないと思うのだが(笑)