A.M.S.G.


Anti-Cosmic Tyranny

1STフル(2013)/From:カナダ/Style:プリミティヴ

amsg_1st

【Track】
1.Black Rites of Black Shadows
2.Reincarnation of the Sun
3.Sacrificial Chants of Cosmic Separation
4.Gnosis Granted from the Bloodline of Fire
5.Heretics and Ashes
6.Bone, Blood and Blackthorn

【Review】
二人組ブラック・メタル。メンバーの片割れであるKaos Abhorrerは2014年に自殺しており、現在は新たな体制のもとトリオ構成になっている模様。Profound Lore Recordsからのリリース。因みにバンド名の【A.M.S.G.】とは”Ad Majorem Satanae Gloriam”の略だそうだ。(そういえば【Gorgoroth】のアルバム名も同じなのがあったなと)この様にバンド名、アートワークからも察する事が出来る所謂、悪魔主義全開のオカルト路線を地で行くスタイルである。

基本的には展開がやや多めのプリミティヴ音源。割とメロディックでいて不穏なリフを奏で、バタバタと疾走しながら言葉数多めのガナり系呪詛ヴォイスで悪魔主義を語り尽くす。

しかしこの音源の最大のポイントは色々と散りばめられた展開する部分にある。限定的に怪しいサックスを導入したり不協和音全開で焦燥感を煽ったり、悪魔主義が色濃く出るようなサバトなスポークン・ワードやノイズ/SEが入り込む。なので直線的で素直な定番定食系プリミティヴとは少し趣向が違う。

流石はProfound Lore所属といったとこであろうか、ただのプリミティヴ音源では終わらない、終わらせない(笑)

しかしながら、やや散漫な印象もするので個人的に荒削りに感じたが、方向性としては凄く好み。磨けば相当に面白い音源を作ってくれそうな予感。Good!


Hostis Universi Generis

2NDフル(2016)/From:カナダ/Style:ブラック・メタル

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【Track】
1.The Exodus of All Life
2.Baptized in the Blood of Galaxies
3.Broken Chains of Cursed Flesh
4.Divine Madness Transcends
5.The Perpetual Dance of Existence and Demise
6.Astral Projections of Lucifer

【Review】
メンバーの自殺を乗り越え、新たに3人編成となったAnti-Cosmic Satanismを掲げるブラック・メタル。今回もProfound Lore Recordsからリリースされた。因みにアートワークは【Leviathan(Us)】のWrestの手によるものである。

前作と比べると突飛な部分が整理されたが、ムーディなサックスをぶち込んだりする”ややアバンギャルドな部分”は健在。作中に使用されるサックスの頻度は少ないモノの存在感があり「もっとやってくれ!」と切願したいくらい世界観にマッチしている。

この様に純オカルティックなブラック・メタルであっても、サックスの使い方とセンス次第ではシンセ以上に強力な空気感を生むんだなぁと今回改めて実感できた次第。

一方でメタルパートはやや散漫な展開だった前作と比べると幾分スムーズに展開する様になっており、前作を踏襲した至極順当な仕上がりになっている。混沌が渦巻いている様な緊張感を生む狂おしいリフの畳み掛けから、アコギの爪弾きを経て呪術的なパートへ繋いでいく波状展開を特色とし、平均すると約10分程ある長尺な楽曲に見合うだけの起伏と展開がしっかりと盛り込まれている。

時折爆発する狂おしいリフの応酬が”Satanic Art”以降の【DHG】に通ずるモノがあり、サックスが入ったりする事を考えると意外と共通点が多かったりする。とは言え決して【DHG】みたいな先進的なタイプではなく、コテコテなオカルト路線を地で行くブラック・メタルなのであしからず。

ともかく、個人的に凄く楽しめた次第。

Great!