Black Fucking Cancer(S/T)

1STフル(2016)/From:アメリカ/Style:ブラック・メタル

【Track】
1.A Sigil of Burning Flesh
2.Acid Ocean
3.Blood Stained Whore
4.SinnRitualVoid
5.Wall of Corpses
6.Exit Wounds
7.Communion of the Blood Unholy

【Review】
3人組ブラック・メタル。Osmose Productionsからリリースされた会心のデビュー作。

ファスト・ブラック・メタル的な感性を持ち合わせながらも、随所でデス~スラッシュ的に刻まれる鋭利なリフや暗黒ドゥーム/ドローン系のカオティックなリフをもブチ込む柔軟性が売りの音源だ。上記で挙げた各要素が破綻することなく巧みに盛り込まれており、音もビシっと整っているし、楽曲自体もすんごくカッコ良く仕上がっている。巷ではよく【Katharsis】や【Antaeus】辺りが引き合いに出されているが、概ねその通りの音を出している様に思う。ただ、こちらの方が整然としている事から、ややデス~スラッシュ的要素が強めかもしれない。

デス/ブラック…言わば暗黒エクストリーム界隈の音が好きならスルーする理由は無いだろうスキの無さが素晴らしい。

取り分け、ドゥーム/ドローンっぽい展開が秀逸であり、「これは只者ではない!」と感じたのでどれどれとメンバーの経歴を確認してみると、メンバー全員が【Circle of Eyes】や【Necrite】等といったドゥーム/ドローン系に何かしら携わっていたことが判明。これらの音源は勉強不足の為、筆者は聴いたことがないのだが、恐らくはソコで培われたモノをファストなデス/ブラックに持ち込んだのだろうと想像できる。

このバンドの場合、ブラック・メタルにカオティックな要素を持ち込んだ、かの【Deathspell Omega】の高度な芸術性と似てはいるモノの微妙にニュアンスが異なっており、あくまでストレートなデス/ブラック的アグレッションをメインに置いてる所が割と新鮮に感じられた次第。例えるなら”Norma Evangelium Diaboli”辺りからリリースされてもおかしくはないが、やはり”Osmose Productions”からリリースされた方がシックリくる…といった感覚だろうか?まぁ、これは至極個人的な感覚なのだが…。

楽曲は【1349】辺りが放ちそうなフックある勢いがタマラナイ#1”A Sigil of Burning Flesh”や、威風堂々とした魔人性が何処と無く【Angelcorpse】っぽい荘厳さを感じさせ、中盤から終盤にかけてド暗黒ドゥーム/ドローン系に転じる#2”Acid Ocean”辺りはこのバンドが指標としているだろう音が明確になっているので、サンプルにするのは持って来いだろう。以後の楽曲についてはダラダラと説明はしないが、個人的に捨て曲なんてものは一切存在しないし、気になる方は是非是非ご自身で確かめて欲しい。ホント、レベル高いしカッコ良い!疾走パートもそうだが、ドゥーム/ドローンパートが良いんだ…。

尚、音源とは関係ないが、ブックレットに記載されている歌詞は全て禍々しい謎の言語(ジャケの真ん中に描かれているマークみたいなモノ)で書かれていおり、ちょっと圧倒された次第(笑)。

ともあれ、もっと騒がれても良い音源のハズ。Great!