Login:SataN

1STフル(2003)/From:フランス/Style:インダストリアル

【Track】
1.Login:SataN
2.Subject to Tragedy
3.Satanus Sextions
4.Tormentor
5.Need a Needle to Tap in the Vein
6.The Empress
7.Mors Ultima Ratio
8.Redway.org
9.Suicide Tutorials
10.An Error in Darkness (Ouroboros)
11.T.A.O.S. (The Arrival of SataN)
12.W.Y.N.F.S. (Whiten Your Nose for SataN)

【Review】
【The Arrival of Satan】【Vorkreist】等で活躍し、最近では【Seth】に加入したSaint Vincentが動かしている3人組インダストリアル・ブラック・メタル。Blazing Productionsからリリースされていた1STである。因みにこの音源は【Anaal Nathrakh】のMick Kenneyがマスタリングを担当している。

ヘイトフルかつVoice Of Evilなヴォーカル(とても強力でカッコ良い!)と刺々しくもエッジが効いたリフが退廃的なイメージを植え付け、無機質なリズムマシーンを駆使した刺激的なリズムが楽曲を支配するGreatな電脳悪魔である(なんじゃそりゃ)。インダストリアルならではの思いっきりの良いアレンジが随所で施されている一方で、ブラック・メタルが持つアングラ性をしっかりと持ち合わせたかなり面白い逸品だ。リズム・パターンに趣向が凝らされてるのは勿論の事、ギターサウンドにも強い拘りが感じられるのが特徴だと思う。

荒涼としたトレモロ、フランス産らしい退廃的なフレーズ、スラッシーでエッジの効いた刻みリフ等を組み合わせ、直線的ではなく動的なスタンスで起伏を付けて展開する。しかも作風の幅がなかなか広かったりもするので、初回なら次はどう来る?みたいなある意味先の読めない楽しみ方も出来るだろう。

またギターサウンド自体はノイジーかつRawな音作りに徹しており”デジタルな仕掛けがあるサウンドなのに何処と無くアナログ(または泥臭い?)感”があるサウンドといったイメージだろうか。あと、エフェクトを掛けているモノのヴォーカルが邪悪さの表現において素晴らしい仕事をしているのも見逃せない。

決して洗練されているワケではないのだが、初期作ならではの荒削りな部分とチャレンジグな部分がいい方向で作用し活きがいい面白い作品に仕上がっている。筆者はこういう洗練されてしまう前の荒削りな音源が大好きだ。勿論、好みの路線の場合に限るのだがそういった意味ではコレは最高なのである。

同じようなインダストリアルを含む有名どころである【Anaal Nathrakh】がWindows10だとするのならば、【Blacklodge】はさしずめWindowsXPといった感じだろうか(例えが意味不明で申し訳ない/笑)

よっぽどインダストリアル系が苦手でもなければチャレンジして欲しい逸品だし、【Aborym】の1ST(限定)を好むなら恐らく悶絶必至のハズ。Great!

 

Solarkult

2NDフル(2006)/From:フランス/Style:インダストリアル

【Track】
1.ftp://SolarKult.NeXus
2.Mi§§ion
3.IrOn IcOn
4.PsychoActive SataN
5.11rd eYe Chemistry
6.Drugz MysticisM [#A:Vision]
7.TeknoShaman_666
8.LuXifer Meme
9.PreQuel to the Kult
10.Angels Refinery [C21H23NO5 MiX]
11.MartYr*Complex
12.Forge=PhoeniX
13.TemplArs

【Review】
ベースプレイヤーが交代、ゲストミュージシャンで生ドラマー(Necromorbusなるスウェーデン人で【Funeral Mist】【Katharsis】【Ofermod】【In Aeternum】等々、この界隈では名だたる有名バンドで叩いた経験アリ)が参戦した2ND(イマイチ活かされてないといった気がしないでもない/苦笑)。ともあれマニア御用達End All Life Productionsからリリースされている。

随分とインダストリアル色が濃厚、洗練されたと同時に、よりアヴァンギャルドかつモダンに仕上がっている。ギターリフに関してもブラック・メタルならではの人力アングラ感は減り、人間味というか泥臭い部分があまり表にでなくなった印象。いわばリフが奏でる”旋律”がある程度感じられた前作に対して、今作は無機質でエッジの効いたリズム的な側面が強いリフが中心になっている。またインダストリアル系ならではの工場的アンビエンスも強く感じられる。尚、前作で素晴らしい仕事をしていたヴォーカルは前作にも増して変態度が上がっており表現力に磨きがかかっており、相変わらず上手いヴォーカリストだという事を再確認できた次第。

この様にインダストリアル系ならではの仕掛けや面白みが増した反面、ブラック・メタルとしては些かアヴァンギャルドになり過ぎたといった印象が強く、リズム面は勿論、ギターの制御も全てデジタルに支配されているといった印象を受けた次第。あくまで泥臭いブラック・メタルとして聴けた前作と比べると中途半端さが一切無くなったので垢抜けており、バンドが指標とする路線としては至極真っ当で進むべき進化を遂げていると思う。

筆者としては荒削りでありながらも前作の絶妙な中途半端さに面白みを感じていたので手放しで喜べなかったのも事実だが、これが本来の形なんだろうなぁ…と複雑な気持ちで聴いてた。しかしながら、これはこれでインダストリアル系ならではの面白みがはち切れんばかりに詰まっているし、変態度が上がっているので単純に面白い音源には違いない。

インダストリアル系が苦手なら避けるべき音源だが、好きモノにとっては半端はないので良い音源だと思う。

 

T/Me (3rd Level Initiation = Chamber of Downfall)

3RDフル(2010)/From:フランス/Style:インダストリアル

【Track】
1.Lambda [Or the Last of the Gods; Being the Secret of Satan]
2.Vector g [Gravity XVI]
3.Sulphuric Acedia
4.SaturN
5. …Stupefying [Suicide Tutorials pt 11]

【Review】
全5曲トータルランニングタイムが32分弱とボリュームダウンしたが有名データベースサイトMetalliumでは一応フルレングス扱いとの事。また人事的にはギタリストがしれっと交代している。今作も前回から引き続きEnd All Life Productionsからデジボックス仕様でリリース(CD盤)されている。

因みにオーストリアの有名ブラック・メタル【Abigor】のEP”Time Is The Sulphur In The Veins Of The Saint – An Excursion On Satan’s Fragmenting Principle”と本作が入っているスプリット形式の音源もVinyl盤としてリリースされている。両方聴きたければそちらの方がお得なケースもあるかもしれない(Vinyl盤高いんで微妙だが)。

音の方はダークなトーンの楽曲で構成されているのが今作の特色であり、よりシリアスなイメージが強まっているのがポイントである。ある意味ディプレッシヴな側面を強めたとも表現できるかもしれない。勿論、サブジャンルを冠してしまう程の強い意味合いではなく、あくまでこれまでの路線の範囲内で収まる形での些細なレベルで…だが。

前作までは割とドンチャン騒ぎ的に外へと振り切れていたのに対して、今作では内向的な部分を感じさせながら、ある一定のラインを超えない程度に振り切れている、といった印象だ。言い換えると、これまでと比べると随分と抑圧的に感じるのである。よって彼らの中でも少々異質な作品といった仕上がりになっている。

取り分け、ラストを飾る#5”…Stupefying [Suicide Tutorials pt 11]”が最もダークなトーンに包まれており、曲名を見ても精神的な闇を感じられるディープな路線になっている事が分かるだろう。

尚、クオリティは前作と据え置きなので、これが良いか悪いかは聴き手次第といった所だが、個人的には割と好意的に聴けた次第。とはいえ、この手の音はこのバンドが演らなくても他で聴けるってのがあるので、当サイト的には1STを推したい所だ。

 

Machination

4THフル(2012)/From:フランス/Style:インダストリアル

【Track】
1.Trident
2.Neutron Shiva (Sun, Walk with Me!)
3.Neo.Black.Magic
4.Industrial Temple Mystica
5.Antichrist ex Machina
6.Order of the Baphomet
7.Empire’s Hymn
8.All Seeing Eye
9.Culto al Sol (SolarKult)
10.The Other Side

【Review】
前作と同じラインナップで制作された4TH。今回は大手Season of Mistのアンダーグランド部門”Underground Activists”からリリースされた4THフルレングス。バンド的にはマニア好みのカルトレーベルから割と業界ではメジャーレーベルに移籍といった感じで一般的な認識では一応、出世したという認識になるのかな?

音の方は2NDで聴かれた極端にインダストリアルに振り切れているスタンスというワケでもなく、普通にメタルという体裁を保ちながらのインダストリアル化といったイメージ。端的に書くとズバリ1STと2NDの中間といった印象だ。まぁ無難に置きに来たと言うか、良くも悪くも極端さは無くなって見事に普遍的になりましたな(笑)

一般的な目線だと、普通にスリリングでカッコ良いしクオリティも高くなったので安定したバンドに映るんだろうけど、このバンドの変態性を知っていると「もっと面白く出来たのでは?」とか「こんなもんじゃないだろ?」と思ってしまった次第(何か偉そうでスンマセン/笑)。個人的に初期から好き好んで聴いているバンドなので、それなりに期待していたから余計にそう思うのかも知れないが…。

おおよそ皆が思い描くインダストリアル・ブラック・メタルのステレオタイプに収まっている様な気がしてならない。彼らならもっと尖った作品を作ってくれるハズ。なので個人的には決してつまらなくは無いが、取り分けて面白くもない凡作といった評価である。次はシーンを混乱さす位、尖ったのをお願いしたいなぁ。

まぁ、これが処女作だったらまた感想も違ってくるんだろうけど…なんか「普通にカッコ良し!」とか書いてそう(笑)

質は高いし悪くはないのであしからず。