Geleit ins Totenreich

Comp(2017)/From:ドイツ/Style:ダンジョン・シンセ│ブラック・メタル

【Track】
Side A
1.Intro – Ivory Tower I
2.Ivory Tower II
3.Black Nymphes
4.Omgivelsene
5.Psycho Remix ’99
6.Dantes
7.Morta Nora
8.Winter
9.Skogen
10.Misanthrop
11.Necromantic (cover version)
12.Forakte
13.Blod stytrning
14.Misebanke (Outro)

Side B
15.Intro
16.Ivory Tower III
17.Shadows
18.Seelengifter – 1
19.Mordlust (Entwertung cover)
20.Blutgeil
21.Svart Alvor
22.Folelse Dod
23.Todeskampf (R.I.P.)
24.Seelengifter – 2
25.Outro
26.Spezial Outro: Misebanke III
27.Blutige Ohnmacht
28.Seelengifter
29.Misebanke
30.Untitled I
31.Untitled II
32.Untitled III

【Review】
ドイツの超絶カルト音源集。

【Grausamkeit】等の数多くのプロジェクトを抱える極悪人B.S.o.D.の嫁さんMelseが演っていたシンセ・ミュージックのコンピレーション。(B.S.o.D.も作曲、ヴォーカルとして関わっている)。B.S.o.D.が運営しているどうしようもなくオブスキュアなレーベル”Kopfkaputt Propaganda”から50本限定でリリースされたカセットである(4/50)。

因みにMelseは2013年に他界しており、その死因は明らかにされていない。極端に情報が開示されておらず、興味が湧いたモノの入手難度がスペシャルS級だったので全く入手できず最近まで聴けなかった代物。2017年に突如としてコンピレーションがリリースされ、この度、ようやく入手し聴くことが出来た次第(割と念願だった)。

音源の構成だが彼女が残した全音源がここに集結しており、Demo1(1999)~Demo2(2000)、【Heroin Makes Happy】、【Grausamkeit】との各スプリット音源、更には未発表曲を3曲追加収録、実に32曲とお腹いっぱいにダークなシンセ・ミュージックが楽しめる。

音の方はシケシケとした陰鬱な音色のシンセがカビ臭い地下臭をムンムンと漂わしながら根暗な旋律を奏でており、ダーク・アンビエントと称するには明確なリズム(曲によっては疾走してたりする)、そして雰囲気一辺倒と云うよりかはちゃんとした旋律が備わっている事から、俗に言う”ダンジョン・シンセ”に該当する音を出している。

一応はセリフ的なスポークンワードがタマに入ったり、ごく一部にブラック・メタルっぽい楽曲もあったりもするのだが、殆どがカビ臭く陰湿なインストが中心となっているためブラック・メタルを期待すると少し違うかも(Side:Bはブラック・メタルな曲が比較的多い)。ブラック・メタル的な要素が薄いとは言え、彼女の元旦那であるB.S.o.D.が演っている【Grausamkeit】のシンセパートに割と近く、ブラック・メタルパートを抜いた【Grausamkeit】といった表現が最も当て嵌まる。

全編において、レクイエム的なメランコリックさを感じる事も出来るが、妙にリズムがメタル的だったり、手拍子サンプリングが入ってたりと、独創的な世界観で一言で暗いと言い切れない部分も。何れにせよ、シトシトと雨の降った日に暗い部屋に引き篭もりつつ、無音声のテレビを垂れ流し、鬱々と聴くと雰囲気は盛り上がる事請け合いの音源だ(笑)。

尚、テープなので再生環境にもよると思うが、リズムマシーンが乗るとスピーカーがビリビリと割れ歪む程のLo-Fiっぷりで楽曲によっては相当な劣悪さを放つ。ポンコツな蓄音機から鳴っているのかと言いたいレベルだが、それが逆にアンダー・グラウンドかつ如何わしい風情を演出し良い味を出している。

ターゲット層は、怪しい音楽好きな方やMortiisが演っていたプロジェクト【Vond】辺りを好むのなら結構イケるのかもしれない。但し、音の劣悪さを許容するのであればの話だが。