The Unborn

1STフル(2009)/From:スペイン/Style:メロディック

【Track】
1.Endless Circles of Blood
2.The Unborn
3.Fallen Through the Spheres
4.My Soul Was Reaped – Enchanted Part II
5.Far Away from the Dawn
6.And Thus the Tyranny

【Review】
スペインの3人組メロディック・ブラック・メタル(現在は二人になった模様)。スウェーデンのDownfall Recordsからリリースされている。

バンド名の”Frozen”という単語から感の良い人なら想像できるかと思うが、完全な【Dissection】フォロワー・バンドである。ブックレットには堂々と「【Dissection】にインスパイアされた」と言及されているリスペクトっぷりでメンバーショットもニヤリとしてしまうほど90’sスウェディッシュ・メロブラの様式を模している。

実のところ、意図的に【Dissection】ライクなバンドを物色していた時に発見したバンドではあるが、意外にも活動歴はソコソコ長くバンド結成は2001年との事。全くノーチェックだったので、それっぽい単語でディグるのも割と有効だなぁと再確認した次第。

音楽性は公言通り【Dissection】っぽさを感じさせるモノであり、叙情的でメロディアスなリードギターがいい感じで走ったり、時折ブレイクしてアコギを導入したりと本家の手法を踏襲。ドラムのクレジットが無いので、恐らくは打ち込みだろうが、粒が揃い過ぎた音に味気のなさを感じてしまい、そこだけは本当にもったいと思う。割と生っぽい音を出している方だとは思うが、やっぱり誤魔化しきれない味気なさを感じた次第。

しかしながら、叙情的なメロディは本家より大胆でリードギターをダイナミックに全面に押し出す部分もあり、コレはコレでメロブラファンには刺さるんじゃないかと思うし、バンドサイドもそこを個性として狙っているのだと思われる。実際に#2”The Unborn”や#4”My Soul Was Reaped – Enchanted Part II”辺りは本家を意識せずとも素晴らしい楽曲だ。因みに本作で一番【Dissection】を感じたのは#6”And Thus the Tyranny”で、名曲”The Somberlain ”のオマージュっぷりが半端なくニヤリとしてしまう程。願わくば”Where Dead Angels Lie”系の楽曲も聴いてみたい所ではある。それは次回があるなら期待したい。

ただ、叙情的なメロディ、邪悪さ、寒々しさが三位一体となっていた神懸かり的なバランス、そして格調の高さは本家には及んでおらず、どのフォロワーバンドにも言える事だが、あと一歩何かが足らないといった感じだ。色々とフォロワー系をディグって聴いてきたが、やはり【Dissection】を超えるのは容易ではないのである。それをわかっていても今は亡き幻影を追い求めてしまうのがファンの性というモノで、公言しているバンド側も例外ではないのだ。

やはりレジェンドだったんだな…と毎回偉大さに気付かされる。

何だかんだ書いたモノのドラムさえ気にならなければ90’sスウェディッシュ・メロブラ好きには楽しめるに違いない。同じ土俵の代表格である【Thulcandra】程、洗練されていないが良い線いってると思うし、応援したいバンドの一つになった。まずはドラマーの加入を切に望む。