Gnipahålan(S/T)

Demo(2017)/From:スウェーデン/Style:アンビエント│アトモスフェリック

【Track】
Sida Vidd
1.Spåkunning Och Vildögd
2.Förlupna Trälar Och Bymänn
3.Genom Stridshågade Tider…
4.Af Vargablod Fött
5.Gårdsfolkets Källa
Sida Nejd
6.Stridsbelystna Viljor
7.Avfällingars Släkte
8.Sorg Och Änketårar
9.Förrädarnas Liktåg
10.Ättestupans Gap

【Review】
Ancient Records及びMysticism Productionsのオーナーであり【Svartrit】【Bekëth Nexëhmü】【Grav】【Hädanfärd】【Urkaos】等々、一連のAnti-Cosmic系ブラック・メタルに深く携わっていたSwartadauþuz(Gt,Bas,Key)が中心のプロジェクト。尚、Inīquus(Vo)とJ.W(Dr)なる人物がクレジットされているが、プロジェクトとしての側面が強いので、ゲストミュージシャン扱いとなっている。

元々はデジタルとカセットでリリースされていた同名デモ音源(2016)だったがPurity Through FireがCDとして再発したモノがコレ。因みにNordisk KulturからVinyl盤もリリースされている様だが、そちらはリマスターされている様だ(必要ないと思うんだけどなぁ…)。

おおよそ彼が関わっているサウンド群のエッセンスが凝縮されたような音源に仕上がっており、一ファンとしてはガッツポーズの傑作サウンドに仕上がっている。とはいえ果たしてこの一連の音源群を熱心に掘ってる人が国内でどれ程居てるのか..。という事で流行などには一切左右されない彼ならではの独特なサウンドが炸裂。知っている人だけニヤニヤしながら聴く、むっつり系の音源だろうか(笑)

本作の肝の一つは何と言ってもシンセの音色に只ならぬこだわりが感じられる部分だろう。何せ視聴した際にシンセの音作りに一発で魅せられてしまい、そのまま即買いした次第。幻想的かつ空間的な奥行きをも感じられるスペイシーなアンビエンス…この表現方法が実に素晴らしい。寒々しい夜空にはオーロラが浮かび、更にその先の宇宙にまで思いを馳せる…そんな幻想的で神秘的な情景をイメージ出来るのではなかろうか。

一方でメタル・サウンドもオーソドックスなブラック・メタルが乗るというワケでは無く、陰湿で厚みの無いチリチリとしたプリミティヴな音質でディプレッシヴな旋律を奏でながらトコトコと程よく疾走するのだが、ベースが全面に押し出している部分に特色があり、楽曲の輪郭を明確にしているのが面白い。スカスカでも苛烈でも無い絶妙なラインを保っているといった感覚があり、この感覚は彼の音源群を踏襲していると言える。例えるなら【Grav】程スカスカではなく、【Urkaos】程苛烈じゃないといった感覚だろうか。また、ヴォーカルも少しクセがあり、水っぽい濁声で抑揚をあまり付けずに詞の一節を力強く吐き捨てるといった感じで、私的感覚だが【Dødheimsgard】のAldrahnを彷彿とさせたりとなかなか一筋縄でいかない感じである。

この様にメタルの部分にある種のクセが嫌味にならない程度に備わっており、先に書いたアンビエント要素と組み合わすことによって独特の個性を放っているのである。これぞSwartadauþuz節に他ならない。

そんなこんなでブラック・メタルに苛烈さや極悪さなどを求めている層には物足らないかも知れないが、神秘系アンビエント/アトモスフェリックな要素を含むブラック・メタルを好むなら至極オススメ。当然ながら彼が参加している作品のファンなら期待通りの音が繰り広げられているし100%マスト中のマスト!と断言しておこう。

最近、チェックをサボってたがこの界隈の一ファンとして引き続き追っていこうと決意した次第。

Love&Graet!