Horde

Hellig usvart

1STフル(1994)/From:オーストラリア/Style:アン・ブラック・メタル

horde1st

【Track】
1.A Church Bell Tolls Amidst the Frozen Nordic Winds
2.Blasphemous Abomination of the Satanic Pentagram
3.Behold, the Rising of the Scarlet Moon
4.Thine Hour Hast Come
5.Release and Clothe the Virgin Sacrifice
6.Drink From the Chalice of Blood
7.Silence the Blasphemous Chanting
8.Invert the Inverted Cross
9.An Abandoned Grave Bathes Softly in the Falling Moonlight
10.Crush the Bloodied Horns of the Goat
11.Weak, Feeble, Dying, Antichrist
12.The Day of Total Armageddon Holocaust

【Review】
元【Mortification】(クリスチャン・デス・メタル)のJayson SherlockことAnonymousによる元祖独りクリスチャン・ブラック・メタル。【Mayhem】の故”Euronymous”をパロった”Anonymous”という源氏名や、コテコテなブラック・メタル音源でありながらアンチ・サタニズムを掲げるといった変り種。まだアンダーグラウンドな音源をリリースしていた大手のNuclear Blast Recordsからリリースされていた音源である。どうやら2004年にRowe Productionsなるレーベルから一曲追加されて再発されているらしい。

音楽性はTrue系、もしくはプリミティヴ系に属する様な音を出しており、これがまたそこらの凡百バンドなんかよりよっぽどカッコイイから困る珍品かつ名盤。

Rawで荒々しい勢いや掻き鳴らされるリフに実に禍々しい雰囲気が漂っており、音像だけ聴くと完全無欠なブラック・メタルのソレである。何故か曲が途中でブツ切りになったり、尻切れな終わり方をする楽曲が多少気になるが、思想を抜きで考えるとブラック・メタルの音源としては実に素晴らしい完成度を誇る。おいそれと知らずに聴くとこれがクリスチャンによるモノだとは到底思えない程の邪悪さと徹底具合なのである。本作からは何か邪悪な波動がジワジワと迫ってくるようなゾクゾクする焦燥感が得られるのだ。音だけ聴くと【Mayhem】+【Gorgoroth】っぽい感じを漂わしているので、生粋のブラック・メタルが放つ空気感が好きならばグッとくるのではなかろうか?ただ、思想までどっぷりなブラック・メタル・ファンには複雑な所だろうが…。

しかしながら、逆に考えると、クリスチャン目線でおぞましきサタニズムが如何に邪悪なモノなのか、それを徹底して説いた結果、ある意味、物凄く邪悪に仕上がったのだろうと推測できる。そう考えるとアン・ブラックメタルとしては物凄く優秀である、という事になる。この様に同じ土俵で勝負しながら本家ブラック・メタルすら食ってしまっていると言っても過言ではないAnonymousのミュージシャンシップに感服するしかないだろう。

何度も言うが、音だけ聴くと凡百のブラック・メタルを蹴散らすほどの完成度を誇っているので、こだわりが無ければ是非一度耳を傾けて欲しい。Great!