Krig

1STフル(1999)/From:スウェーデン/Style:アトモスフェリック│メロディック

ishtar_1st

【Track】
1.The Abyss
2.The Shadow Warrior
3.Mörkrets furste
4.Skuggtronen
5.De svarta följeslagarna
6.Damnation
7.Dismal Paradise
8.Vinterfrost

【Review】
バビロニアの女神”イシュタル”の名を冠する4人組ブラック・メタル。元【Fall ov Serafim】元【Misteltein】のメンバーが在籍している。2005年に国内レーベルImperial Dawn Recordsよりリマスターされ再発もされた。(ジャケ違い、ボーナストラック一曲追加、曲順も全く違うそうだ。)筆者が今回レビューするのはオリジナル盤。尚、このアルバムを最後に解散している。

楽曲の方はシンセ・フィーチャーした疾走メロディック・ブラック・メタルである。シンセが表に出てリード・メロディを奏でる部分があったり、アトモスフェリックな空間を演出したりと大活躍している。アトモスフェリックな側面が強く、曲によっては実に幽玄的な感覚を撒き散らす。

メタル・パートも荒涼感を演出するトレモロ・リフ、そして決して派手にならないメロディアスさで奏で叙情味を描き出す。また、緩急を付けながらも、非常にドラマティックな展開であり、適度にブラストを絡ませて疾走する。随所に絡んでいる美しい女性コーラスにも注目。あくまでアクセントとして導入されているのだが、雰囲気を盛り上げており、叙情性とアトモスフェリックさに拍車を掛けている様に思う。ナイス・アレンジ!

ヴォーカルが一本調子気味にギャ~ギャ~叫んでいるのが若干気になるモノの、ブラック・メタルに叙情性を求めているなら非常に良い音源だと思う。決して、派手なシンフォニック・ブラック・メタルの領域まで踏み込まず、ギリギリ寸前の所で踏み留まっている所が90年代らしい音源である。

地味ながらも叙情味に旨味がある、実に味わい深い傑作。推薦盤。