The Lord of Obsession

1STフル(2012)/From:日本/Style:シンフォニック

junobloodlust_1st

【Track】
1.Moonlight
2.Total Eclipse, Sinister Prophet
3.The Lord of Obsession
4.Into the Forest
5.The Forest of Despair
6.Justice Is Dead
7.In This Coffin of Immortelles
8.Black as a Crow

【Review】
愛媛のJuno Nitta率いる二人組シンフォニック・ブラック・メタル。ドラマーはイタリアの【Adversam】でドラムを叩いているSummum Algor。国産だがグローバルなバンドだ。音だけ聴くと国産とは思えない曲調と展開、そしてハイ・クオリティなサウンドを余すこと無く聴かせる高品質なシンフォニックサウンド。メタル要素とシンフォニックさの割合が絶妙であり、どちらの要素も最大限に活かしきっていると思う。その融合性、曲展開の完成度たるや筆舌に尽くし難い。

特にメタル部分でのクオリティが半端無く、ブラック・メタルとして鋭く刻むリフやトレモロは勿論、時折、鋭く切り込むギター・ソロなどを用いて非常にスリリングに展開するのである。このスリリングさこそが、このバンドにおける最大の個性だと思う。シンフォニックさを指標とするバンドでここまでスリリングな曲を書けるとは…ハッキリいって海外勢の凡百シンフォニック・ブラック・メタルを軽く凌駕していると思う。ヴォーカルも【Emperor】のIhsahnを彷彿とさせ、クリーンヴォイスによるコーラスなども随所で聴けるし、カッコ良い。また、ドラマーも凄腕かつ優秀で上手く楽曲に溶け込んでおり、突出しまっくって浮いて聴こえる様な事もなく、楽曲に合わせたバランスが絶妙。完成度を確固たるモノにしていると思う。また、ダークでゴシカルな雰囲気を撒き散らすシンフォニック・パートにならではの暗黒美意識をしっかりと感じる事が出来る。それらのシンフォニックな要素が高い次元でメタル要素と融合しており、作り込まれているし、相当練られている事が一聴して分かるレベルである。

死角が全く見当たらないし、正直な所、演奏、展開、音質、どれを取っても欠点と言う欠点が何一つ見当たらない。この様にリスナーに要求する土台は全て整っているので、後は個人の嗜好の問題だけだろうか?筆者は楽曲がスリリングな事もあって、最後までダレる事無く聴き通せたし、ホント短く感じた位である。ここまでレベルの高い音源が出てくるとは…国産恐るべし!シンフォニック・ブラック・メタルが好きなら、全員必聴レベルと言っても過言ではない。

ベタ褒めレビューだが決して過大評価では無い。大推薦!