K.F.R

Anti

1STフル(2014)/From:フランス/Style:アンビエント│ブラック・メタル

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【Track】
1.Am I So Ugly
2.Terror
3.Heal Me
4.Let Me Be the Vomit Guiding Your Mouth
5.Suck My Death
6.There Is No God but Him
7.Al-Masīḥ Ad-Dajjāl
8.Anti
9.My Torments
10.Larv

【Review】
Maxime Taccardiなる芸術家が中心で活動する二人組みアンビエント/ブラック・メタル。Dark Adversary Productionsからのリリース。今作では【Mütiilation】のMeyhna’chがヴォーカルでゲスト参加している。

元々、Maxime Taccardiは自分の血で絵を描いたりするアヴァンギャルドな芸術家で、自分のアートを音として表現するために発足したプロジェクトがこの【K.F.R】らしい。アートワークとサウンドは対を成すものでどちらも重要なのだとか。

気味の悪いアートワークから連想できそうなジメジメと陰惨な極悪アンビエント/ブラックを展開。正に”死のアート”または”自傷アート”と言うべきダーク極まりない内容。基本的にブラック・メタルにダーク・アンビエントを織り交ぜた至極雑然としたスタイルであるが、そのアンビエント・パートが凄惨で畏怖の念を禁じえない。じっとりと纏わり付きそうな淀んだ空気感、自傷行為に身を委ね苦痛からついには発狂している様なサディスティック的危なさがある。そんな凄惨な光景を連想させながら、苦悶する発狂ヴォーカル、アングラ直径の掻き鳴らしリフ、やけに破壊的なドラミングといったブラック・メタルパートが融合…というよりダーク・アンビエントの中に”潜んでいる”と表現した方が適切か。

メタル的にカッコイイとかそんな次元では語れない気がする逸品。おそらくダークアンビエントに理解が無ければ約一時間に及ぶ我慢大会が繰り広げられる事請け合いな人を選ぶ作品。まぜるな危険!くわばら、くわばら…。

 

Death March

2NDフル(2014/2016)/From:フランス/Style:アンビエント│ダークエレクトロ

kfr_2nd

【Track】
Side A
1.Der Antichrist
2.The Devil Has Come Home
3.Stab the Bitch
4.Bound to Die
Side B
5.Death March
6.Death March (Epilogue)
7.Welcome My Son
8.Funeral II

【Review】
Maxime Taccardiが独りで製作した2ND。2014年に自主的にBandcampにてデジタル配信及びCDRにでリリースされていたが、2016年正式にManifest of Hate Creationsから限定148本でカセットでリリースされた。内、DieHardエディションが限定21本(缶バッチが三つ付くらしい)、普通のヴァージョンが限定127本だそうだ。(筆者の所有しているのは通常版の12/127)また、カセット本体に黒ずんだ血が付いているのだが…これってリアルブラッド?

さて音源の方だがこれが随分と聴きやすくなっている。前作の雑然とした音は整理された様でダーク・アンビエント謙ブラック・メタルというよりか、完全にダーク・エレクトロの領域だ。故にメタリックな感触は1mm足りとも存在しない。おどろおどろしい不安感を煽る低音が効いたシンセにズチャズチャ…とデジタルビートを多用しながら淡々と進行する。暗黒由来のバッド・トリップ感といったところか。ヴォーカルもそれに合わしてEBMっぽい抑揚も聴けたりする。

ちょっと想像していたのとは違ったのは否めないが、ダークな陶酔感を味わうなら良いかもしれない。タイトル曲でもある#5”Death March”のエキセントリックなカオスっぷりが強烈で神経を逆撫でするかの様。個人的にはそこそこ楽しめた次第。

※因みにウチで飼っているネコ(にゃん丸)が生理的にこの音がダメらしく、まるまると瞳孔が開いて不安がるという現象が起きている(笑)

 

Nekro

3RDフル(2015)/From:フランス/Style:アンビエント│ブラック・メタル

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【Track】
1.Intro
2.I
3.II
4.III
5.IV
6.V
7.VI
8.VII

【Review】
ブラック・メタル路線にカムバックしたアルバム。Misanthropic Art Productionsから限定200枚でリリースされた。(自主制作盤は限定20枚だったらしい)今回はゲストに【Drowning the Light】のAzgorhが参加(#4でヴォーカルをしている)、更には元【Danzig】(!)のJoseph Bisharaがイントロを手掛けている。

アートワークが何気に凝っており、7インチのアナログジャケットを使用しているので見栄え良し、中にはブックレットもちゃんと入っており彼が手掛けた奇妙で倒錯したアートワークの数々が堪能できる。

さて、音の方だが今回はしっかりとブラック・メタル路線へと回帰している。ダークアンビエント要素は健在だが導入率としては1STよりも随分と控えめになっている。ぶっ壊れ気味かつ輪郭をぼやかした様なノイズだらけのギターの壁を構築し、そこからしっかりと感じ取れる凄惨さが強烈。苦痛からたまらずこぼれ出た様な狂気のヴォーカルから悲痛さがしっかりと伝わってくる。個人的にこのプロジェクトに抱いていたイメージが最もバッチリ当て嵌った音源である。ともかく醸し出す凄惨さが凄まじく、ただただ彼らが描く凄惨な暗黒度に圧倒されっぱなしである。

どことなく漂わせる焦燥感が割と【Sortsind】に近いモノを感じた次第。凄惨で邪悪の塊みたいな路線なのでハッキリいって半端はない。ブラック・メタルの中でも相当敷居が高い音源ではなかろうか。

現物は残念ながら既に入手困難だがBandcampにてたった2ユーロで買えるので好きもんは是非。Great!