Mordor(Che)

Csejthe

Demo(1992/1995)/From:スイス/Style:ドゥーム

mordor_demo

【Track】
1.Bloody Countess
2.First Birth of the Cruel Nymph
3.Last Demoniac Invocation
4.Self Immolation for My Sweet Goddess of the Dark Dawn
5.The Moment of the Worship of Total Evilution
6.In Search of the Pure Negation
7.Agony: The Ascent of the Mountain

【Review】
3人組ブラック・メタル/フューネラル・ドゥーム。1992年に自身が立ち上げていたDark Industriesなるレーベルより同名のカセットがリリースされていたモノに2曲追加して1995年にWild Rags RecordsがCDとして再発したモノである。

指輪物語の舞台となっている「モルドール」の名を冠するバンドである。同名のバンドが結構居てたりもするが今回紹介するのはスイス産【Mordor】。Metal Archivesによるとアクティヴになっており一応は存続している模様。フェイスブックのページがある!(笑)EP1枚とデモ2本、スプリット2作、そして今回の再発盤を1992年-1995年までコンスタントに出していた様だが、それ以降は音沙汰が無く、てっきり解散したのではと思っていたのだが。

音の方はドゥーム色があるブラック・メタル、所謂、フューネラル・ドゥームに近い作風である。どんより沈み込むような根暗で怪しいシンセがテンコ盛りで幽鬼が漂ってそうな気味悪さがあったり、パイプ・オルガンで宗教色を薄っすら演出してみたりと暗黒度は満載。また、ギターサウンドもやたら間があったり、チューニングが狂った様な不協和音を奏でたりしている。そして決して走らない淡々と刻まれる打ち込みドラムによるリズム、時にボソボソと呟くようにガナるヴォーカル、チャントの様なスポークン・ワードや女性ヴォーカル(?)っぽいコーラスなども盛り込んでいる。

総じて暗さの追求と怪しさに特化している様なサウンドなので音響モノといった側面が強いかもしれない。そう言った怪しい要素は#1-#5において最も顕著に現れており、追加された2曲に関しては真っ当なドゥーム・チューンを聴かせてくれる#6、ダークアンビエント風の#7(やたら長い無音の部分あり)と前半に比べると些かまともだったりする。よって聴きどころは怪しい#1-#5という事になるが、当然メタルを期待して聴くと火傷必至。どちらかと言えばダークアンビエント辺りの音響モノを好む”怪音フェチ”な方には一度耳を傾けて欲しい作品である。

まだ、存続しているとは言え、忘れ去られるのは勿体無い”何か”を感じ取れるハズ。