Wicca

1STフル(1992/1993)/From:ブラジル/Style:デス│ブラック

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【Track】
1.The Witch Voisin Recites Our Gloat (Intro)
~Osculum Obscenum
2.Tormentum Aeternu
3.Cursed Excruciation
4.Defloration (The Antichrist Lives)
5.(Invocacione) The Almighty Satanas
6.The Dark Kingdom (T.E.A.R.)
7.An Elizabethan Devil-Worshipper’s Prayer-Book
8.Hyoscyamus Niger
9.Mystifier (Satan’s Messengers)
~Our Gloat (Outro)

【Review】
ブラジルの地下に潜ったまま出てこないベテラン4人組。結成は1989年と古く、歴史においても、由緒正しき(?)ブラック・メタル第一期生。1992年にリリースされたモノを翌年にOsmose Productionsが再発したモノがコレ。

【Blasphemy】や【Sarcofago】直系の穢れ極悪メタルである。初期の音源らしくデスともスラッシュとも取れる曖昧さを併せ持ちながら、限定的だがチープなシンセで雰囲気を作ったりする側面もあり、紛うこと無きブラック・メタルの感触に他ならない。とにかく、ムンムンとした地下の臭気が凄まじい上に【極悪】【邪悪】【冒涜】といったこの手に求められる三大要素しか無い世界観は圧巻である。うにょうにょと低い位置で不気味に蠢くリフ、ドカドカしつつも、つんのめったドラム、穢れをボソボソと低く吐き捨て続けるヴォーカルが強烈すぎて怖いくらいだ。ムンムンとむせ返るような死臭しか感じない穢れ系の基本の一つと言うべき作品。

穢れ系を好んで聴いているなら必須。

 

Goetia

2NDフル(1993)/From:ブラジル/Style:デス│ブラック

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【Track】
1.Aleister Crowley & Ordo Templi Orientis
2.An Elizabethan Devil Worshipper’s Prayer Book
3.The Sign of the Unholy Cross
4.Caerimonia Sanguilentu (Goetia)
5.Beelzebuth
6.The Realm of Antichristus
7.The True Story About the Doctor Faust’s Pact With Mephistopheles
8.Cursed Excruciation / The Sinuous Serpent of Genesis (Leviathan)
9.The Baphometic Goat of Knights Templar in the 12th Century

【Review】
メンバーが一人増員。ツインギターの5人体制になった。相変わらず地下臭気を多分に含んだ空気感が強烈な2作目である。

シンセによる雰囲気付けが前作以上に際立っており、オカルト的な不気味さ及び不穏さをヤケに強調しているのが今作の特徴である。楽曲もそういった雰囲気に合わせてドロドロとしたドゥーミーなミドル・パートがメイン。そこに乗る低くボソボソと呻くヴォーカルと楽曲の相性が良く、楽曲によく映えていると思う。また、場面展開に応じて猛然とした激走パートを絡ませており、ミドル・パートだけでは無く、ハッキリとした緩急を感じ取ることが出来る。前作ほどの闇雲な強烈さは随分と減ったのが少々残念ではあるが、醸し出す如何わしい雰囲気は何も変わっていない。

荒涼感を全面に出す北欧勢とは異なり地下臭気を多分に含んだ泥臭いサタニックさ、そしてデス・メタルっぽい感触が独特。そういった所が如何にも南米ブラック・メタルである。

 

The World Is So Good That Who Made It Doesn’t Live Here

3RDフル(1996)/From:ブラジル/Style:デス│ブラック

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【Track】
1.Give the Human Devil His Due
2.A Chant to the Goddess of Love – Venus
3.The Death of an Immortal (According to the Astral Light)
4.Idolatry
5.The Barbarian Duelling with the Wise
6.Moonick (Why Does It Never Rain on the Moon?)

【Review】
ギターを演っていた二人が脱退して三人になってしまった。ギターにヘルプを入れての三作目。

よりデス・メタル色を強めた作品であり、シンセによる如何わしい雰囲気を残しつつも、ヘヴィに刻むギターリフを聴く限り、80%位はデス・メタルの感触が強い。ヘヴィなリフをガシガシ轟かせ、ヴォーカルも低い咆哮系がメインであることから、ブラック・メタルを聴いているという実感はあまり無い。楽曲の場面展開も豊富であり、組み立て方や複雑さが実にデス・メタル的。しかしながら、時折やたらと自己主張するシンセや、邪悪な喚き声、やたらと良い声のオペラ声で恥ずかしげもなく熱唱したり、スポークン・ワードがあったり、ブラック・メタル的な妙な気狂いさはある。割りと前作までは低く呻くヴォーカルが主体だったのが、今回の仕事っぷりを聴く限り、声色を使い分けが出来る芸達者なヴォーカリストだった事がわかる。

色々な面でまともなパワーアップを図れている反面、灰汁が強くなった印象も。

 

The Fourth Evil Calling from the Abyss
(Tormenting the Holy Trinity)

Comp(2000)/From:ブラジル/Style:デス│ブラック

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【Track】
1.Dethroning Nazarenus
2.Woman of a Thousand Mens’ Dreams
3.The Evil One Invades the Earthly Paradise
4.The Supreme Power of Human Suffering
5.Superstitious Predictions of Misfortune
6.A Plague Spreads in the Earthly Paradise
7.Beelzeebubth
8.Demystifier
9.Celebrate Antichrist Coming
10.The So-Called God Abandons the Earthly Paradise
11.Mystifier
12.Possession
13.Christian Proscription
14.Cursed Excruciation
15.Fierceness
16.Six Celestial Desires of the Virgin
17.The Almighty Satanas
18.Satan’s Aberrations
19.Satanic Lust (Sarcofago cover)
20.Leather and Metal (Poison cover)

【Review】
新たにレコーディングされた曲、リハーサル音源やEP、そしてデモ音源にカヴァー曲などお腹いっぱいカルトな音源が聴けるコンピレーションである。

#1-#2
新録された楽曲であり、デスラッシュ的な鋭さを兼ね揃えた突撃ナンバーである。もはやブラック・メタル的な要素は皆無である。この後に(#3-#10)に収録されているEP(1999)音源の贅肉を削ぎ落とした様な楽曲を演っている印象で、3RDまでの灰汁が薄まっている。普通にカッコ良い音源なのだが、”これじゃない感”を感じるのは筆者だけではないだろう。

#3-#10
このCompアルバムが出る前にリリースされていたEPが収録されている。3RDの要素を残しつつも、メタル的なカッコ良さを重視したスラッシーな突撃ナンバーを連発。ベースが大活躍しておりヤケにメロディアスなベースを弾いているのが非常に印象的。加えてオペラ調のヴォーカルが結構な頻度で乗っており、3RD同様、灰汁が強い音源である。しかしながらコレはコレで個性の塊であり、ツボったらクセになる音である。

#11-#18
1989年のデモ音源から収録。今作の目玉とも言える。当然、低クオリティな音質なのだが、各楽器の動きがしっかりと聴き取れる範囲であり、原点である極悪度満載の楽曲をしっかりと聴ける好音源。ズバリ【Mystifier】を聴く様なリスナーはコレを求めているハズ!と断言できる(笑)闇雲でつんのめる勢いで押しまくるリズム隊、荒々しくもノイジーかつ、向こう見ずに掻き鳴らされるギターと言い、穢れ系と呼ぶに相応しい楽曲が目白押しである。ホント衝動性が素晴らしく、崩壊寸前で留まっている絶妙さが非常にカッコ良い。Rawなドラミングが非常にGood。えげつない程、素敵なのである(笑)彼らにはコレを続けて欲しかったと言うのが本音。個人的に1STより断然こっちだ。

#19-#20
【Sacofago】と【Poison】のカヴァーで締め括っている。後者は80年台に活躍していたドイツのスラッシュメタルだったらしい。筆者は聴いたことが無いのだが、大量のデモ音源とアルバム一枚を残して解散したカルトなバンドだったそうな。