Storm

Nordavind

1STフル（1995）/From:ノルウェー/Style:ヴァイキング│フォーク

storm_1st

【Track】
1.Innferd
2.Mellom bakkar og berg
3.Haavard Hedde
4.Villemann
5.Nagellstev
6.Oppi fjellet
7.Langt borti lia
8.Lokk
9.Noregsgard
10.Utferd

【Review】
ノルウェーのブラック界の大御所二人が演っていたプロジェクト。【Darkthrone】のFenriz（Herr Nagell）、【Satyricon】のSatyr（S. Wongraven）、そして元【The 3rd and the Mortal】のKari Rueslåttenによるフォーク・メタル。Satyrがオーナーを務めるかつてのMoonfog Productionsからリリースされていた懐かしの作品。

ヴァイキング魂を否が応でも感じさせる力強くもトラッド風味溢れるギターリフ、同じくヴァイキングを連想させるSatyrとFenrizの抑揚の付いた漢臭い民謡ヴォーカル、そこに相反するKari嬢の美しきソプラノヴォイスが流麗に絡むといった北欧古来の異国情緒を強烈に漂わす逸品。

スタイル的には民族楽器などに頼らない、あくまでメタリックで土着的なリフが主体のフォーク・メタルだが、しっとりと湿り気を帯びた独特の空気感とトラッド色の強いリフは、やはり90年代におけるノルウェイジャン・ブラック・メタルに共通する雰囲気を持っている。

リフや歌唱にヴァイキング調の力強さがあるモノの、演奏自体に苛烈さは一切なく、土着的素朴さが全体を支配しているのが最大の特徴だろうか。また仄暗さが漂っている一方で、Kari嬢による可憐なハモリ/歌声が天から降り注いでいるようで、勇敢なヴァイキング達の誇りと彼らを癒やす母性みたいな二面性を楽曲から放っている。

どうやら自国のトリビュートという意味合いがある様で自ら”Norsk Nasjonalromantisk Musikk”（ノルウェー国民のロマンチック・ミュージックという意味かと思う）と称しており、CD盤もノルウェーの国旗を模したプリントとなっている点からも、そのような想いが伝わってくる。

ラストの短いインストが、北欧の厳しい寒さを暖炉で癒やすが如く温かみのある楽曲を演っており、これがまたイイんだ…。