TeitanBlood

Black Putrescence of Evil

Comp(2009)/From:スペイン/Style:デス/ブラック│ウォー

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【Track】
1.Anvil of Doom (Intromancy)
2.Leviathan Division
3.Ultimate Revelation Descend
4.NecroSemen
5.Extermination Temple
6.Anvil of Holocaust (Outrogramatton)
7.Necrosemen
8.Black Pasch (Carnivore Eucharist)
9.Infernal Abomination of Death

【Review】
3人組デス/ブラック・メタル(現在は2人組み)。Nuclear Winter Recordsからリリースされていた。

デモ音源 “Genocide Chants to Apolokian Dawn” と【Proclamation】とのスプリット音源、そして【Necros Christos】とのスプリット音源に収録されていた楽曲がこの一枚に集結。

くぐもった音質で繰り広げられ、美という美を徹底的に排除した極悪非道さを地で行くデス/ブラック/ウォー・メタルを展開。低い位置でウネウネと蠢きながら、まるで蛇の様に這い蹲るリフ、突如として切り込むヒステリックなギターはまるで地獄の業火で焼かれる罪人の叫びの如く。そしてヴォーカルは非人間的で低く唸り声を上げ、憑かれたように叩き続けるドラミングが一丸となって吐き出され、随所で鳴る邪悪なイメージのSEが楽曲を更なる地獄色に染め上げている!と、この様に大げさな言葉をワザワザ選びたくなる様な音像だと言う事が伝わればありがたい。

基本的には【Blasphemy】【Beherit】を元祖とする王道スタイルだが、そんな画一的スタイルとはややベクトルが異なっているのが特徴。特に邪悪なイメージを植え付けるSEに、何処と無く宗教/神学的なニュアンスが含まれており、ネクロで穢れた音像に特化したダーティなバンドとは明らかに一線を画している様に思う。

とは言え、バンド史上最もストレートに穢れている音には違いなく、ここは一つ、罪人になったつもりで挑んで欲しい逸品。

濃厚な瘴気を浴びながら、地獄の最底辺をフルチンで歩くような過酷な音を是非体感して欲しい。Great!

 

Seven Chalices

1STフル(2009)/From:スペイン/Style:デス/ブラック

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【Track】
1.Whore Mass
2.Domains of Darkness and Ancient Evil
3.Interlude (عين إبليس)
4.Morbid Devil of Pestilence
5.Interlude (Ugaritic title)
6.Infernal Dance of the Wicked
7.Interlude (वामाचार)
8.Seven Chalices of Vomit and Blood
9.Qliphotic Necromancy
10.The Abomination of Desolation
11.The Origin of Death

【Review】
2人組みデス/ブラック・メタル。常に一本筋の通った明確なビジョンがあり、契約するバンドも、恐らくはかなり選定しているであろう”Norma Evangelium Diaboli”からのリリースで一気にハクが付いた1STフルレングス。

時折、挟み込まれるインストによる神学/宗教的な描写がより明確化され、禍々しさが以前よりグっと増してきた。また、音のクオリティが向上しているので、各楽器に関する音の分離、音の厚み等が大幅にアップ。誤解を生みそうな書き方だが、これでも一応は聴きやすくなったと言えよう(そんな甘っちょろいもんではないのだが/笑)。

一方で楽曲の構成にも若干の変化が感じられ、割と押しの一辺倒だった前作に比べ、楽曲に程よく緩急が付きはじめた。よって、ミドルパートによる雰囲気作りがより踏み込んだモノになっており音楽的にも深みが増しているのではないだろうか。言い換えると、デス/ブラックとしてドラマティックにパワーアップを遂げた一方で、ウォー・メタル的な要素は低くなったと言えるかもしれない。

しかしながら、ひとたび爆走モードにスイッチが入ると一気に音の渋滞を引き起こし、混沌とした音の濁流が押し寄せる”ならでは”の感覚は従来通りで、ウォー・メタル的に美味しい部分もしっかりと残されているのが本作の特徴ではないだろうか。

ベタな表現だが【Deathspell Omega】辺りが放ちそうな”不浄さを引き立てるための神聖さ”といったややトリッキーなスタイルと、デス/ブラック/ウォー・メタルが持つ、ストレートかつ原始的なスタイルを併せ持つハイブリットな感覚がある音源といえる。

前作と変わらず爆音で聴きたい逸品!Great!

 

Woven Black Arteries

EP(2012)/From:スペイン/Style:デス/ブラック

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【Track】
1.Sanctified Dysecdysis
2.Purging Tongues

【Review】
今作もNorma Evangelium Diaboliからのリリース。因みにUS盤はThe Ajna Offensiveからリリースされている。同年アナログでリリースされた一曲のみ収録のEP”Purging Tongues”に新曲を追加してCD化したという位置付けの作品だ。

尚、2曲で27分弱収録されており、この手にしては一曲が10分を超えるという長尺な部類に入る(前作にも10分超えの楽曲はあったが)。二曲しか入ってないからといってスルー厳禁。個人的に1STを上回るといっても過言では無い程に凄い音源だと思っている。

路線的に前作の延長線上にあるスタイルと言えなくも無いが、以前にも増してメタルという定義すら曖昧になる程リフを粉砕、輪郭不明瞭な轟音ノイズが押し寄せる。憑かれた様に突貫し続けるドラム、地獄の底から聴こえてくる様なヴォーカル…これらが一気に吐き出される様は言うなれば”負の音圧”と表現したくなる様な分厚い禍々しさがあり、それはもう凄まじい事この上なし。

リフもよく聴かないと何を演っているのか分からない程だし、ましてやメロディなんてモノも無いのにも関わらず、この緊迫感や焦燥感、そして荘厳さを表現できるとは…全く凄い才能だ。また、#2では従来の路線から徐々にダークアンビエント風に移行していく楽曲が聴けたり、ある意味、新機軸なスタイルを披露しており非常に興味深い。当然メロディ派にはオススメできないが、ダークで禍々しい音を浴びたければ是非一度試して欲しい。

いやいや…ちょっとコレは凄いワ。アーメン。

 

Death

2NDフル(2014)/From:スペイン/Style:デス/ブラック

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【Track】
1.Anteinfierno
2.Sleeping Throats of the Antichrist
3.Plagues of Forgiveness
4.Cadaver Synod
5.Unearthed Veins
6.Burning in Damnation Fires
7.Silence of the Great Martyrs

【Review】
今作もNorma Evangelium Diaboliからのリリース。因みにUS盤はThe Ajna Offensiveからリリースされている。

今作はゲストとして【Autopsy】のChris Reifertがゲスト参加(#6でヴォーカルを担当)している。どの様な経緯で参加することになったのか知らないが、相当ピンポイントな人選かと。

さて、今作はメタルとしての整合性が大幅にアップしており、音もクリアになっている事からリフが非常に聴きやすくなっているのが特徴だろうか。また、アグレッションに関しても更に鋭く磨かれており、路線もよりデスメタル色が強まっている。よってウォー・メタル路線のイメージからは随分と遠のいた作風になっており、前作までがキツイ!と思った方でも少しは聴きやすいかと思われる。とは言え”負の音圧”は健在であり、言わばコレまでの集大成と言うべき路線なので当然ながらメロディ派にはオススメできないのは相変わらずである。

割と禍々しい雰囲気一本で押していたが、今作はちゃんとメタルとしてカッコ良くなっているのが最大のポイントだろうか。更にはダークで禍々しいアンビエント風や、”不浄さを引き立てるための神聖さ”等も失われておらず、しっかりと完備しているところがニクイ。これぞ正に全部入り集大成、”ワガママ・ボディ”(死語?/笑)もとい”ワガママ・アルバム”である。

ただ全体を通してどんどん大作志向になりつつあるのでその辺は好みが分かれる部分ではあると思う。しかしながら、やっている事は極めて高レベルだと思うし、これは単純に強力な音源だろう。

興奮した!Great!