Veneficium

De Occulta Philosophia – A Missae Tenebrae

1STフル(2008)/From:カナダ/Style:シンフォニック

Veneficium_1st

【Track】
1.Introitus
2.Et Arcadia Ego
3.Nenia Solemnis
4.Marcia Funebre
5.Dominus Inferus Vobiscum
6.In Extremo Spiritu
7.Ad Mortem Dare
8.Consecratio
9.Epitaphium

【Review】
3人組ブラック・メタル。二本のデモと一枚だけアルバムを残し解散している。これまた解散するには惜しいバンドの一つ。

雰囲気あるイントロから繰り出されるのは90年代ノルウェイジャン・シンフォニック・スタイル。初期【Limbonic Art】(1ST~2ND)辺りのスタイルにかなり近い。基本的にはシンセ主導型なのだが、シンセとギターサウンドの絡みが非常に好バランスでありGood。あくまでトレモロ・リフを駆使し寒々しい荒涼感を醸し出しながら疾走しており土台部分がしっかりしている。仮にシンセを剥ぎ取っても良質なブラック・サウンドとして成立してしまいそうな程。そこに上質かつ仄暗くも荘厳なシンフォニックさを大胆に足し算しているのである。

それがまたお互いの要素を邪魔すること無く、良い具合で化学反応を起こしており、なんとも素晴らしいバランスの妙技。暗黒や邪悪さというよりかは”極夜のロマン”を思わず感じてしまう…そんな上質サウンドなのである。また、オーケストラル・ヒットなど派手な音をバシバシ入り込む様なシンフォニックさでは無く、あくまでアトモスフェリックな空気感にワビサビを感じさせる辺り、中々の90年代っぷり。

先人達が築き上げた遺産にリスペクトしつつ、それらをよく研究し、更には寒々しい国でしか生まれなかったであろう感性が生み出した極上サウンドである。素晴らしい!