Bagatur

Skazanie Za Drevnobulgarskoto Velichie

EP(2010)/From:ブルガリア/Style:ペイガン│NS

 

Bagatur_ep1

【Track】
1.I-IV

【Review】
二人組みブラック・メタル。Bubonic ProductionsとThor’s Hammer Productionsが合同でリリースしたCD盤。元はカセットでのリリースだったらしく、そちらの方はWinter Solace Productionsからリリースされている。【Aryan Art】のAlexander、そしてYangaなる女性(ヴォーカル兼アートワーク)によるデュオ。因みに4曲入っているが、全てトラック#1にまとめられている。

戦いの始まりを予感させるドラが鳴り、戦士を鼓舞するような太鼓から騎乗戦のSEが重なっていき、印象深いシンセがゆっくりと被さり戦場に鳴り響く。そしてシンセと共鳴するようにプリミティヴなギターサウンドとドラムが同調していくのだが…ベースレスな上、存在自体が非常に薄く、奥に引き篭もって出てこない(笑)時折、表に出るくらいで9割位は裏方に徹している。この様に主役はあくまで浮遊感のあるシンセであり、ふわふわと漂いながらもしっかりと楽曲を主導していくスタイル。そこに女性とは思えぬYangaの邪悪なヴォイス(クレジットに”All Vocal”と記載している事から全て彼女だと思われる)が木霊し、古代ブルガリア人の誇りを掛けた戦いを丹念に描いた叙情詩的な作品となっている。

楽曲の中核を成すシンセは常に一定のテンションを保ち、その表情を変える事は殆ど無く、淡々としながらも味のあるメロディを奏で、一種独特の世界観を創り上げているのが面白い。これがまたチープなのだがNS系ならではの妙な面白さがある。凄いのは、力強く引き締まった音では無いのにも関わらず、力強さや勇ましさ、民族の誇りを感じさせるのである。これが不思議とハマる。メタルとして一般的では無いので、好き嫌いは分かれるだろうし、やはり、灰汁は強めだが、NS系に理解ある人には逸品だろう。面白い!