Nocternity
Nocternity
En Oria / Crucify Him
Comp(2001/2004)/From:ギリシャ/Style:ブラック・メタル
【Track】
1.Night Omen
2.To the Shrine
3.The Drowning
4.Queen of the Deep
5.En Oria
6.Enter the Rift of Chaos
7.Final Redemption
8.Aura
9.Stella Tenebrarum
10.Crucify Him
11.Lunar Innuendo
12.Perdo Corporem
13.The Gates(Bonus Track)
14.Black Holy War(Bonus Track)
【Review】
Khal Drogoと【Order of the Ebon Hand】のMerkaalによるブラック・メタル。現在はKhal Drogoの独りプロジェクトになっている模様。今作は2001年にリリースされた1ST”En Oria”と同じく同年にリリースされたEP”Crucify Him”を収録、オマケにボーナス・トラックが2曲入ったお得盤。2004年にSolistitium Recordsよりリリースされたモノである。内訳は#1-#8が”En Oria”#9-#12が”Crucify Him”、そして#13-#14がボーナストラックである。
En Oria #1-#8
シンセを程よく絡ませたドラマティックなブラック・メタルである。若干、シンフォニック寄り。【Emperor】の1ST-2ND辺りや初期【Limbonic Art】辺りの影響が強く、安定したブラック・メタル・チューンが楽しめる。醸し出す空気感がまるでノルウェー産。あくまでリフがメインだがシンセを上手く絡ませた雰囲気作りが実に素晴らしく、90年代ブラック・メタルを好むなら是非聴いてもらいたい作品である。天空にはオーロラ、眼下に広がるは荒涼とした大地!…といった光景が連想できそうな楽曲を披露している。リフもブラック然としているし、垂れ流しっぽく聴こえるが、実はそうじゃないシンセの絡ませ方など、フォロワー勢の中でも一際完成度が高い。ブラック・メタルとしてのアングラ感も心地いいし、相当良い線を突いていると思う。
Crucify Him #9-#12
専属ドラマーが一人付いた模様。が、これを最後に脱退してしまう。前作の延長線上かつ正当進化した音源といった内容なのだが、若干、プロダクションに問題アリ(笑)エコーが強くなって、音の厚みが無くなったのが至極残念だが、奏でる楽曲は間違いなく一級品。これ、プロダクションが良くなったら間違いなく名盤音源になるんでは?と強く思うのだが…実に勿体無い。とは言え、そこがアングラにおけるブラック・メタルらしさと言えばそうかも知れない。ともあれ、前作と比べ、程よく展開が増えておりクリーンギターを絡ませる側面が強くなってきた。加えてシンセも前に出る部分、引っ込む部分とメリハリがあってGood。そして何よりも楽曲の組み立て方やリフが明確にドラマティックになっているのが特徴だろうか。ともあれ楽曲は素晴らしい。
ボーナストラック #13-#14
#13は雰囲気あるインスト。続く#14はプリミティヴなシンセ入りブラック・メタルを演っているのだが、どうやら最初期(1ST以前)のリハーサル音源だそうだ。まぁ、それなりにボーナス・トラックだな…と言った感じである(笑)
総じて素晴らしいComp音源であり、90年代ブラック・メタル・ファンは機会があれば是非聴いて頂きたい作品の一つである。個人的には悶絶盤の一つ。
Onyx
2NDフル(2003)/From:ギリシャ/Style:ブラック・メタル
【Track】
1.The Song of Hammers
2.Onyx
3.Secreta Ayra (The Key)
4.Valyrian Steel (Blood of the Dragon)
5.The Red Dawn
6.Schwarze Nacht
【Review】
まずジャケがカッコ良すぎ。なんとも金が掛かってそうな中世ファンタジーっぽいテッカテカの鎧が素晴らしい。尚、2014年の4月になってどうやら自ら運営しているレーベル”Kyrck Productions & Armour”より再発されたみたいである。余談だが彼らのレーベルでは鎧(アーマー)もオーダーメイド出来るらしい(笑)と言うことは…ジャケの鎧は自ら作成したって言う事だろうか?それはそれで傾倒っぷりが素晴らしい。それはさておき、再発された音源にはボーナスが一曲入っているとの事。今回レビューしているのはSolistitium Recordsからリリースされたオリジナル盤。
音源の方は相変わらず、どっから聴いても初期【Emperor】直系である。荒涼としトレモロが鳴り響く中、洞窟から聴こえてきそうなヴォーカル、中世を思わせるシンセの扱い方、全体的にエコーが掛かってるような音質と90年代ブラック・メタル魂が渦巻いている。楽曲にも緩急がクッキリ付いており、総じてドラマティック。曲によってはペイガン風味がしっかりと加味されており古の浪漫を感じさせる楽曲が素晴らしい(特に#3は雰囲気、メロディ共に突出しておりGood!)以前よりミドルパートが増えたが、雪崩れ込む部分に更なるメリハリが出てきたし、初期【Emperor】辺りを好むなら相変わらず良い線を突いているので安心して聴けるだろう。
90年代ブラック・メタルファンに捧げる一枚。
A Fallen Unicorn
EP(2004)/From:ギリシャ/Style:ブラック・メタル
【Review】
1.Klagelied des Windes
2.A Fallen Unicorn
3.The Emerald Serpent Prince
4.To Grey Olden Shores
5.Pagan Poetry (Björk cover)
6.A Fallen Unicorn (Bonus Track)
7.Worship the End(Bonus Track)
8.Cold Wings of Noctisis(Bonus Track)
【Review】
Epと言う触れ込みだがボーナストラックに以前スプリット音源に提供した3曲を追加収録。フルレングス並みの充実度がある。尚、#6が【Kawir】とのスプリットで提供した1曲、#7-#8が【Akitsa】とのスプリットで提供した音源である。相変わらずカッコイイ鎧を纏ったジャケがカッコイイ。
さて、音源の方は氷に覆われた古の廃都ってな情景が容易に想像できる神秘的なインストから始まり、ファストでコールドブリザードな良質ブラックナンバーへと雪崩れ込んでいく。もうコレでだけでブラック・メタルファンの心を鷲掴みされるだろう(笑)今回は全体を通しシンセは控え目。ギターは結構ノイジーで寒々しくも荒々しい勢いを全面に打ち出している。加えて雰囲気もしっかりと醸し出しているのだが、いちいち凍えそうなブリザードっぷりだ。音質はブラック・メタルらしく、ノイジーで音の分離も曖昧、ヴォーカルや楽器を含め総当りで雰囲気を撒き散らすスタイルである。この様に何があってもメジャー路線には舵を切りそうに無いアングラ魂を貫いており、マニアから長く愛されそうなバンドなんだと確信に変わったアルバムである。尚、#5はアイスランドの歌姫”ビョーク”のカヴァーだが、このアルバムにベストマッチしており違和感も全く無い。ボーナス・トラックも言わずもかな絶品である。
ブラック・メタル・ファンにとっては掛け値なしに良いバンドだと思う。この調子で末永く頑張って欲しい。
Harps of the Ancient Temples
3RDフル(2015)/From:ギリシャ/Style:ブラック・メタル
【Track】
1.The Black Gates
2.Harps of the Ancient Temples
3.Titans
4.River of Woe
5.B.O.D.D.
6.Blood Rite Tree
7.Opaline Eye of Death
8.Andromeda
66.Untitled
【Review】
3人組ブラック・メタル。ヴォーカルに元【Lunar Aurora】のWhyrhd(ここではW.と名乗っている)を迎え、ドラマーも【Dead Congregation】【Inveracity】所謂、デス・メタル畑からVagelis Voyiantzis(ここではN.Sと名乗っている)に交代しての作品。
相変わらずクオリティの高い鎧で中世を思わせるジャケットがやたらとカッコイイ。ここまできたらもう映画のセットとしても十分の通用するのではないか?と思う程のクオリティの高さだと思う。鍛冶屋をやってるだけあって、その拘りが伝わってくる。
さておき、音の方だが以前に比べると明らかにスローダウンしている点が大きな変化として挙げられる。スローからミドルを軸にリフを重ねていく腰の座った音になっており、要所、要所で古のロマンを感じさせる流麗かつアトモスフェリックな感覚のギター・メロディが実に神秘性を帯びつつ漂っている。特に#8”Andromeda”辺りは絶品では無かろうか?また、ベースも全編において非常に効果的に楽曲の根幹を支えており、よりムーディーになったと言える。時折、ドドンと鳴る太鼓の音も良アクセント。
疾走感がまるで無くなってしまったが漂わすムードはやはり安定しており、著しく以前までの良さを削ぐものでは無いと感じた次第。…とは言え、やはり疾走感のある曲は欲しかったなぁ…と物足らなさは否めない感じではある。なんせ、全編に渡り、暗雲立ち込めるダークなイメージである。
因みに66曲目にはシークレット・トラックで短いインストナンバーが入っている。
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