T.H.R.O.N.

Seductions of the Unbaptized Darkness

1STフル(1998)/From:ロシア/Style:ブラック・メタル

thron_1st

【Track】
1.In Dominions of Lewd Spell
2.Нарыв Вековых Воздержаний
3.Seductions of the Unbaptized Darkness
4.My Moonfaced Empress
5.У Врат Первородных Чувств
6.Монументальность Творений…
7.Darkest Self-Perfection
8.Lust Has Not Boundaries

【Track】
5人組ブラック・メタル。ロシアの老舗レーベルMetalAgenからのリリース。バンドの表記はこの時点では【Thron】。音楽性を大きく変えた2NDから【T.H.R.O.N.】に表記が変わっている。

全く話題にすら上がらなかったのが少し寂しいが、実は筆者の中では隠れた良作の一つ。後に音楽性をガラリと変えグラインド・デス・メタル(!)になってしまったが、この1STは素晴らしい純正ブラック・メタルを演っていた。

掻き鳴らす荒涼としたリフを中心とし、随所で控えめながらもシンセやアコギを絡ませ、限定的にオーロラを連想させる神秘的な女性コーラスが寒々しく入ったりと、割とツボを心得たアレンジが印象的。

荒涼とした演奏スタイル、音質も90年代ブラック・メタルが好きならツボのはず。また、楽曲の流れに程よい緊張感が漂っており、無名とはいえ全く侮れない。何処と無く【Emperor】の1ST辺りの耳触り、そして感触に近い。当然、超えていないが、そこそこ良い線いってると思う。

まぁ、ブラック・メタルを腐るほど聴いている方には何処かで聴いた事があるような既視感を感じるかも知れないし、悪く言えば北欧ブラック・メタルの焼き直しとも言えるのだが、そんな中でも確かな手応えを感じる音源であった。

久しぶりに聴いてもGreat!いや、今だからこそGreatなのか!?

 

Subject to Damage

2NDフル(2000)/From:ロシア/Style:デス・メタル│グラインド・コア

thron_2nd

【Track】
1.World of Animal Behavior
2.T.H.R.O.N.mageddon 2000
3.Treacherous Gene
4.World in My Eyes (Depeche Mode cover)
5.As a Worm
6.Battering Ram
7.Spit Blood
8.Sophism
9.Twist the Knife (Slowly) (Napalm Death cover)

【Review】
今回もMetalAgenからのリリース。

前作の面影を一切感じさせないモダンでストロングなグラインドテイスト全開のデス・メタルに転じ、個人的にビックリしてずっこけた思い出の2ND。(当時は試聴なんてなかったので)まぁ、ジャケ写がブルータルなオッサンの時点で「ん?」だったのだが(笑)

ストロングでザクザクとアグレッシヴに動くへヴィなギターリフ、キレのあるブラストを緩急を付けながら叩き出すタイトなリズム隊、そして野太く吐き捨てる咆哮。ミドルチューンとファストな爆走チューンを散りばめ、モダンに仕上げている。もはや以前のサウンドからは考えられないカッチリとした体育会系な楽曲を展開。これはこれでたまに聴くと普通に気持ちよく聴けるのだが…

何よりもブラック・メタルのテンションで聴くと火傷必至(笑)

ブラッケンドな路線ならまだしも、グラインド・コア寄りなので余計に差を感じるのである。前作の面影をここまで完璧に消せるのって結構凄い事だと思う。誰もこれを聴いた後に以前は真っ当なブラック・メタルを演っていたとは絶対に思わないだろう。ソレ位の変わりっぷり。まぁ、こっちの方がモテそうではある(笑)

一体何があったんや。