Thy Worshiper

Ozimina

EP(2015)/From:ポーランド/Style:ペイガン│フォーク

ThyWorshiper_ep

【Track】
1.Brzask
2.Halny
3.Ożyny
4.Wietlica
5.Wśród cieni i mgieł
6.Ozimina

【Review】
6人組ペイガン・ブラック・メタル。Arachnophobia Recordsからリリースされた。1993年から活動していたみたいで、完全にノーチェックだった。しかし、こんな面白いバンドがポーランドに居たとは…。

音の方は大地の精霊を呼び覚ます様なスピリチュアルなペイガン/フォーク/プログレッシヴ・ブラックといった所だろう。例えるなら呪具をシャンシャカと振りかざしながらジプシーが踊りだしそうな土着的リチュアル・サウンド。パーカッションと女性コーラス、その他、諸々の民族楽器で雰囲気を盛り上げる。

特に女性コーラスの貢献度が素晴らしく、まるで祈祷師が雨乞いをするみたいな(?)妖しい響きがとても印象深い。ジプシーが使う怪しげな呪いだとか、乾いた大地だとか、そんなイメージがピッタリなネィティヴ系サウンドだ。

尚、メタル部分はプログレっぽい演奏であり、ブラック・メタルらしさは然程しないのだが、妖しい女性コーラスに呼応する様に入り込む醜悪な濁声ヴォーカル(男性)が乗る部分にその片鱗を感じる事が出来る。そもそも、メタルパートがこのアルバムの主だとは言えず、雰囲気に合わせて盛り込んでいる程度の割合なのだが。

アプローチが非常に面白くなかなかの個性派。雰囲気モノが好きな方は是非。

 

Klechdy

4THフル(2016)/From:ポーランド/Style:ペイガン│フォーク

ThyWorshiper_4th

【Track】
Disc 1
1.Gorzkie żale
2.Wila
3.Marzanna
4.Halny
5.Post Coitum
6.Wschody

Disc 2
1.Zioła
2.Słońce
3.Grzyby
4.Dziady
5.Żywot
6.Anielski orszak

【Review】
Arachnophobia Recordsから2枚組みでリリースされた。アルバムタイトル”Klechdy”とはポーランド語で”物語”という意味らしく、その名の通り、叙情詩的なコンセプト・アルバムになっているみたいだ。

音としては前作”Ozimina(EP)”の延長線上に違いなく、相変わらず様々な民族楽器を多用しながらも、今作ではメタルとしての分厚さも兼ね揃えた良アルバムに仕上がっていると思う。イマジネーションが刺激されるサウンドは実にユニークでありながら、「あ~コレコレ」といった我々日本人にも判り易い異国情緒を感じられる点が非常に魅力的。

また、このバンドを特徴付ける女性ヴォーカルの存在感、そして醸し出す妖しさが際立っている一方で、暗黒面担当の男性ヴォーカルも【Behemoth】のNegalを彷彿とさせる魔人性を帯びより力強くなった点も見逃せない。

この様に呪術的感覚とフォークロアな女性ヴォーカルや、大地を揺るがす力強い土着的リズムと低音をガッチリと支えるベース、そして異国情緒を感じさせるフォーキーな展開、それらを纏め上げるプログレッシヴな楽曲構成、全てが前作を上回っているかと思う。よって2枚組みという長編でありながら興味深く聴き通せた次第。

尚、印象としてDisk-1が女性ヴォーカルが際立ち、比較的フォーク・メタルの側面が強く、Disk-2がややダークでアグレッシヴな路線になっており、よりブラック・メタル的な構成になっている。

クオリティも高いので雰囲気モノがツボなら是非お試しあれ。