ʃynagoga ʃatanæ

1STフル(2017)/From:フランス/Style:Raw│Lo-Fi

【Track】
1.La Congrégation Dv Charnier (Ouvertvre)
2.The Fog that Bleed to Deathe
3.Nigromancer’s Moone
4.Gravſamgeiſt
5.Extractvm ex Infernis
6.Oratorio (Interlvde)
7.Pandœmoonivm
8.The Retvrn ov Morbid Times
9.Babylon the Greate
10.Gavotte Macabre (Fermetvre)

【Review】
フランスとポルトガルのオブスキュアな混合バンド【Wampyr Dungeon】に在籍していたGraf Wampyr Arkäatakörvkre(Vo、Gt.)と【White Death】のVaërlv(Vo、Dr)による腐れRawブラック・メタル・デュオによる1ST。Final Agony RecordsからリリースされたCD盤、同レーベルからLPとTour de Gardeからはカセット版がほぼ同時期にリリースされている。

結成は2009年だが幾度となくスプリット音源のリリースを重ね、ようやくフルレングスのリリースとなった。まぁ、この界隈のバンドはデモ音源やスプリット音源が通常運転でアルバムまでは出さない事が多く、フルレングスとして形になったのは割と有り難い。

さて、このバンド、何やら” Le Cercle Mört”という名の、全く知られていないであろうブラック・メタル・サークル(多分…)に属しているらしい。情報を追おうと色々と調べてみたのだが、それが一体何なのかわからなかった。恐らくはLLN(Les Légions Noires)の様な閉鎖的なサークルだとは思うのだが…(もしご存知の方がいれば掘ってみたいので是非ともコメント欄に情報プリーズ)。

さておき、音源の方だが、おいそれと通常の人間には勧めにくいダーティーさと確かな冒涜性が渦巻いており、1mmたりとも小奇麗な部分は確認できない穢れ冒涜サウンドを展開。されど、意外とメロディアスな部分もあってか、攻撃的だけど、何処かしみったれてるといったイメージが強い。

ベースプレイヤーが不在の為、ベースレスで薄っぺらい音なのは勿論のこと、刃こぼれしたヤスリであえて削っていく様なザリザリとした耳触りなリフを重ねていく。また、ただ只管突っ走るのではなく、緩急は付いてたり程よく展開もするけれども、結局は「勢いこそが命!」と言わんばかりにドタバタしながらもボッコボコにぶっ叩く人間味溢れるドラミングが素敵。オマケにトチっ狂った様に喚き散らすヴォーカル(時折、投げやりな脱力ヴォイスも)が追い打ちをかけて木霊するといった、正にRaw/Lo-Fiブラック・メタル・ファン涎垂モノの逸品!

当然、一発録りっぽい雑な演奏をそのまんま出力した様なプロダクションではあるが、これまた何を演っているのかワカラナイと言う程、楽曲そのモノは崩壊しておらず、ある程度の聴きやすさ(Lo-Fi系にしてみては、というのが前提)が確保されているので、案外Lo-Fiブラック・メタルの入門盤としてアリなのかもしれない。

そういった事を踏まえて”程良い塩梅で腐っている”と表現したい、そんなカルト音源だ。

あと音とは直接関係は無いが「我々は狼であり、獲物は貴方だ!」という(バックインレイに書いてある)マンハント的な文言とGraf Wampyr Arkäatakörvkreがアー写で人の首筋に噛み付いており、なかなかお茶目なワンシーンが拝める(笑)