Bölzer
Hero
1STフル(2016)/From:スイス/Style:ポスト(あえて)
【Track】
1.Urðr
2.The Archer
3.Hero
4.Phosphor
5.Decima
6.I AM III
7.Spiritual Athleticism
8.Chlorophyllia
9.Atropos
【Review】
スイスのKzRとHzRによるデス/ブラック・メタル。ゲストとして【Svartidauði】のThe Sturlaが#4でヴォーカルとして参加している模様。このアルバムはIron Bonehead Productionsからリリースされた。
実のところ、このフルレングスの前にリリースされていたEPが海外では高評価だったのを嗅ぎつけて、どれどれと柄にもなく入手してみた音源。高評価であったEPは未聴だが何やら巷では「ジャンルの垣根をぶっ壊すハイブリッドなメタル」として評価されていたらしい。
さて、気になる音の方はデス・メタルと呼ぶには殺伐としておらず、ブラック・メタルと呼ぶには邪悪さやドス黒さも然程感じられない…といった割と一筋縄ではいかない立ち位置のサウンドを展開。どちらかと言えばアグレッションや邪悪さよりも、先ずはドゥーミーな部分が先行するタイプとでも言えようか。
演奏は割とモダンに仕上げているのだが、その根底にはカオティックな不協和音が流れていたり、どこか呪術的というかリチュアルな雰囲気もあって、確かにハイブリッドで先鋭的ではある。ヴォーカルはクリーンヴォイスに濁音が付いた程度のガナリ声とその延長線にあるようなクリーンヴォイスを使い分け、吠える、叫ぶ、吐き捨てると言うよりかはしっかりと抑揚が付いているスタンスだ。ドラミングは疾走しているモノの然程高速でもなく、極端で苛烈なデス/ブラックを期待すると、ちょっとポスト感が強すぎるといった感じだろうか。
結果、私的に最後まで掴みどころが無い”宙ぶらりんな感覚”が続く微妙な聴き心地で終始もどかしかった次第。やはりこういうのは自分の土俵でガッと掴める部分が欲しいなぁと感じた。
う~ん、正直あまり好みではない(笑)
もう少し泥臭く骨太のデス/ブラックを想像していたので余計にそう感じるのかも知れないが、それはそもそもの入り口が間違っていたのだろう。邪悪さや苛烈さが中途半端なまま高品質で演った感じがどうも受け入れ難かった次第。
されど、クソか?と問われると、恐らく賛否が分かれる所で、様々なジャンルに理解がある識者にとっては、唸る部分もきっとあるんだろうなぁ、って言うのは何となく理解は出来るし、品質としても細かい所まで行き届いているとは思う。ブラック・メタル馬鹿である筆者にはソレがわからなかっただけの事。
筆者の好みに逆張りするならチャレンジしてみては如何だろう?(笑)最近の【Cobalt】とかあの辺の先鋭的な作品を好むならイケるかも。
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