Asag

Asag(S/T)

1STフル(2007)/From:スイス/Style:Raw│プリミティヴ

asag_1st

【Track】
1.Intro
2.Falsche Lehre
3.Blutopfer
4.Cathubodura’s Sentenz
5.Siechtum Mensch
6.Ave Maria
7.Feuersturm

【Review】
4人組ブラック・メタル。Fullmoon Funeral Productionsからのリリース。デモ音源のリマスター(#1-#6)に一曲足しての全7曲。シュメール神話の「アサグ」という”病気を引き起こす悪魔”の名を冠した衝動性高めのRaw/プリミティヴなバンドである。

音の方はノイジーな掻き鳴らしリフを軸にブラック/スラッシュ調に聴き手を煽り倒すリフを適度に織り交ぜて、トレモロもちょいちょい挟んでくる。これがまた実に荒々しくノイジーに調整されており衝動性を醸し出している。この手では無視されがちなベースもハッキリと聴こえ、時としてメロディアスなベースラインを奏でつつ、しっかりと自己主張しながら根幹を支え荒々しい楽曲をまとめている。ドラムは基本的にはその都度、楽曲に合しブラストしたり、2ビートを絡ませたり取り分け印象的では無いモノの影でいい仕事をしてるといった印象。そこに憎悪剥き出しの邪悪なヴォーカルがガナり散らしており、喧しくも実に荒々しいブラック・メタルをプレイしている。

特に全体的に殺気と初期衝動性が際立っており、多少の緩急があるとはいえ勢い任せかつノイジーに突っ走っている様が実に痛快。気になる所と言えば楽曲の〆方が実に無愛想かつ呆気なかったりするがまぁ許容範囲。また、トータルランニングタイムが30分満たないのも個人的に好印象で、スカッと聴けてしまい不思議と物足らなさは感じなかった。

この荒々しい衝動を耳で受け止めるにはコノくらいが調度いい塩梅なのかもしれない(笑)

少し小粒な感じが否めないが、叙情性や小奇麗な展開を極力廃したRaw/プリミティヴ系のダーティさに理解があり、ブラック・メタルに衝動性を求めるなら美味しい音源だと思う。普通にカッコ良し!

 

Feuer zieh mit mir

2NDフル(2010)/From:スイス/Style:ブラック・メタル

asag_2nd

【Track】
1.Tor Gottes
2.Metamorph
3.Traumtod
4.Spross Babylons
5.Band des Verderbens
6.Plage
7.Asag Kult
8.Es hiess Boule!
9.Drahtseilakt

【Review】
メンバーが1人抜けて、3人編成になった。今回はレーベルを通さず限定500枚で自主制作された。

衝動性はやや薄れ、よりメタリックにそしてタイトな音になった。結果、整合感とキレが増し、厚みも出てきた様な気もする。音そのモノのクオリティが大幅にアップしているので、まぁ順当な進化を遂げていると思う。特にリフが力強くダイナミックになっており、スラッシーに刻むリフの割合が比較的多くなっている事から前作のプリミティヴ感は随分と薄れた。

また、若干引っ込んで聴こえていたドラムも前に出てきた様に思う。総じて前作と比べ丁寧に演奏をするようになった感じで少し理性的になったと言うべきか(笑)。そういった音の変化はあるにせよ、バンドの方向性を大きく覆すほどの変貌はしておらず、ややスラッシュ・テイストを膨らませた前作の延長線上の作品といった路線に落ち着いている。

ただ、音のクオリティが上がっている反面、衝動性は少し下がったのは否めない。個人的にダーティさと衝動性に惹かれていたのでそういった点では少々残念。まぁ、並と比べて充分過ぎるくらい衝動的なのだが。

よって荒々しさは前作に軍配が上がるモノの、楽曲の安定したカッコ良さは何一つ変わってない。Good!