Les Chants de Nihil

La liberté guidant le fer

1STフル(2010)/From:フランス/Style:メロディック│ディプレッシヴ

LesChantsdeNihil_1st

【Track】
1.Dame silence
2.Là où nous sommes les rois
3.La liberté guidant le fer
4.Clarté de la pluie
5.Manifeste (ma politique)
6.La dévastation par les iris
7.Les envies solaires

【Review】
3人組ブラック・メタル。デモを2本とEPに次いでリリースされた2010年度フル。

意味不明なアートワークが印象深く、一体どういった状況なのかを説明して欲しい気もするが…。肝心の内容はなかなかの良作っぷり(笑)

音の方は所謂、メロディックなブラック・メタルなのだが、非常にドラマティックな仕上がりになっている。また、ディプレッシヴな感覚もあるが、どうしようもない絶望的な世界観と言うよりかは、まだ辛うじて人間性を保てている様なサウンド(笑)言い換えればメロディにまだ温か味がある感じだろうか?色気のある泣きのギターソロが入ってたりもする。

嘆くヴォーカルに悲愴トレモロや丁重にメロディを弾くギター、ミドルから一転ブラストしたりと、一貫して起伏ある内容となっている。メロディが先にあってのディプレッシヴさとでも表現できるかと思う。気が滅入る様な生粋のド暗黒ディプレッシヴ・ファンには物足らないかもしれないが、メロディック・ブラック・メタル辺りを好む方にはスッと入っていけるような仕上がりではないだろうか?

正に哀愁と絶望の狭間にある味わい深いブラック・メタルといった印象。個性があってGood。

 

Propagande érogène

2NDフル(2011)/From:フランス/Style:メロディック

LesChantsDeNihil_2nd

【Track】
1.Le triomphe
2.Dissidence décadente
3.Félonne
4.Les reines de verre
5.Fête de la fédération
6.Le verdict
7.Propagande érogène
8.Du feu et des étoiles
9.Hymne de la commune

【Review】
ブックレットには7人と大所帯なメンバー写真が掲載されているが、4人はヴォーカルとしてゲスト参加している。

音のクオリティは上がり、若干力強くダイナミックな路線になった。それによってディプレッシヴさが随分と弱まってきている印象。しかしながら、メロディが大前提のバンドである事は何も変わっていない。前作の哀愁と絶望の狭間といったサウンドから、哀愁のブラック・メタル路線へ的を絞った感じである。

比率で言えばディプレッシヴさ【1】:哀愁:【9】位の割合。

特に#5の”Fête de la fédération”辺りでは叙情メロデスといっても過言では無いくらい派手に演っており、哀愁を全面に打ち出している事がモロに出た好例だろう。また、幾つかの曲では勇壮なコーラスを多用している側面もあったりするので、少しペイガン/ヴァイキング風味もあったりする部分も前作とは大きく違うポイントである。なんとも個性的だが変な灰汁が出る一歩手前で踏み止まっている何とも絶妙で不思議な作品であった。

メロディ派には前作と共に良い音源だと思う。素晴らしい。