In The Streams Of Inferno

1STフル(1996)/From:ノルウェー/Style:インダストリアル

Mysticum 1ST

【Track】
1.Industries of Inferno
2.The Rest
3.Let the Kingdom Come
4.Wintermass
5.Crypt of Fear
6.Where the Raven Flies
7.In Your Grave
8.In the Last of the Ruins We Search for a New Planet

【Review】
”Sabazios”というバンドを前身とし、早い段階でインダストリアルを取り入れていた先鋭的なバンドである。”Euronymous”の”Deathlike Silence Productions”からリリースされる予定だったが、御存知の通り殺害されてしまったので”Fullmoon Productions”からリリースする事になった曰くつき作品。また、1994年にはLiveメンバーとして”Mayhem”の”Hellhammer”が参加していたこともある。

楽曲の方はインダストリアルの要素を取り入れているといっても実はシンセの使い方とリズムパターン位でそれほど大袈裟に取り入れている訳では無い。あくまでノルウェイジャン・ブラック・メタルの範囲を崩さずに導入しているのでインダストリアル要素を前面には出していない。邪悪な絶叫とジリジリとした暗鬱なリフにシンセが薄っすらと乗り、デジタルビートで展開するといった感じである。漂わす雰囲気は”これぞブラック・メタル”という領域を頑なに守っており、地下臭満載、音も初期らしいローファイさ加減と定番の内容。インダストリアルから連想されそうな洒落た音などは皆無であり終始ジメっとした質感を楽しめる。

ブラック・メタルに打ち込みという要素を取り入れた先駆け的存在であり”Aborym”なんかはこのバンドの影響をモロに受けていると思われる。(実際、ヴォーカルの”Prime Evil”はAborymの”Generator”にてヴォーカルとして招かれている)

Lost Masters of the Universe

コンピレーション盤/From:ノルウェー/Style:インダストリアル

Mysticum コンピレーション

【Track】
1.Intro
2.The Rest
3.Wintermass
4.Mourning
5.Father Beyond
6.Forces of Darkness
7.Outro
8.Demons Never Sleep
9.Crypt of Fear
10.The Shattered Soul
11.The Grave of Petrified Souls
12.Mourning
13.Where the Raven Flies
14.Kingdom Comes
15.Eriaminell
16.Black Magic Mushrooms

【Review】
過去のデモ音源を詰め込んだコンピレーション的位置付けの作品である。

#1~#7はデモ音源”Wintermass”(1993)から、#8~#11は”Medusa’s Tears”(1993)、#12は”Ulver”とのスプリット音源(1994)から、#13は”Piss Off”(1995)というプロモ音源から、#14は”Necropolis Records”のVAである”Nordic Metal – A Tribute to Euronymous”(1995)に提供された曲、#15は”Fullmoon Productions”のVAである”A Tribute to Hell – Satanic Rites”(1998)に提供されていた音源、#16は”Audiopain”とのスプリット音源(2003)と一通り彼らの音源を走馬燈のように(笑)浸ることが出来る。1STから曲が被っているが、デモバージョンなので些か印象が違う。だが基本的にはあまりインダストリアルを全面に出さない伝統的なノルウェイジャン・ブラック・メタル・スタイル。ただ#16だけは彼らのスタイルが明確に誇張されておりインダストリアル風味がヤケに強く興味深かった。

解散したという話は聞かないし、音沙汰も無いことから活動しているかどうかは全く不明。次回があるならどういった変化が起きるのか楽しみである。

Demons Never Sleep

ブート盤/From:ノルウェー/Style:インダストリアル

Mysticum ブート

【Track】
1.Intro
2.The Rest
3.Wintermass
4.Demons Never Sleep
5.Crypt of Fear
6.The Grave of Petrified Souls
7.Demons Never Sleep(medusa’s mix)
8.Into My Crypt of Fear
9.The Shattered Soul
10.The Grave of Petrified Souls(second version)

【Review】
初期デモ音源などをを寄せ集めた音源(と思われる)で出所が全くわからないブート盤。

音質はこもりまくっており激悪。最早、どの辺がインダストリアル要素なのか分からない逸品(笑)当然、リマスターなどされているワケでは無くコレクター以外は手出し無用。楽曲の輪郭が取り敢えず分かる程度で音はボッコボコ。しかしながら、この音質で聴く#7”Demons Never Sleep(medusa’s mix)”は何故かカッコ良かったりした(笑)

一応、デモ音源はコンピレーションである”Lost Masters Of The Universe”である程度聴けるのだが・・・同じ音源なのか!?といった具合に音悪い。どんだけカセットコピーし回したらこんな音になるんだ(笑)

Planet Satan

2NDフル(2014)/From:ノルウェー/Style:インダストリアル

mysticum2nd

【Track】
1.LSD
2.Annihilation
3.Far
4.The Ether
5.Fist of Satan
6.All Must End
7.Cosmic Gun
8.Dissolve to Impiety

【Review】
なんと18年ぶりのアルバム。”Peaceville Records”よりリリースされたが、国内版が”Ward Records”のサブレーベル”Chaos Reigns”より発売された。今回レビューするのは国内版の方である。(ボーナストラックは付いてない模様)

当然ながらプロダクションにメスが入り、音の分離が随分と良くなっている。鮮明でクリアな音質…と言ったら少し語弊がありそうだが、1STと比べるとその差は歴然としている。楽曲の方はノイジーでザラついたブラック然とした掻き鳴らしリフ、トレモロを軸に、ドコドコバシバシとリズムパターンが直線的だったり、テキパキと整然としながらも、妙にリズミカルだったり(#4は三三七拍子が飛び出す/笑)、瞬間風速が猛烈な速さだったりを繰り返す。この辺りの手法は前作を踏襲していると言えよう。そして1STの時点では邪悪極まりない喚きヴォーカルだったのだが、今回は中高音の吐き捨てシャウトが主体。言い換えればエクストリーム度が微妙に上がり、ブラック・メタル度が微妙に下がったと言える。そういった側面と音の綺麗さも相まって地下臭、怪しさや邪悪度が随分と下がった。人によっては音質向上の為、プラスに作用するかもしれない。個人的には邪悪さが欲しかったので、その辺りはちと残念か。

概ね前作から大きくブレる事無く至極無難な路線であり、復活作としては上々かと思う。もっと変則的に攻めて欲しかった気もするが、まずは手始めといった所か。整然としたテキパキさが気持良く普通にカッコ良いし、18年のブランクがありながらカムバックした事に対して敬意を表したい。