Nordjevel(S/T)

1STフル(2016)/From:ノルウェー/Style:メロディック

【Track】
1.The Shadows of Morbid Hunger
2.Sing for Devastation
3.Djevelen i nord
4.The Funeral Smell
5.Denne tidløse krigsdom
6.Blood Horns
7.Det ror og ror
8.Når noen andre dør…
9.Norges sorte himmel
10.Raining Blood (Slayer cover)

【Review】
Osmose Productionsからリリースされた3人組(現在は4人組)ブラック・メタル、デビューフルレングス。

【Svartelder】のDoedsadmiralと【Tvangeste】のNordによって結成され、【Marduk】のドラマーであるF.Widigsがメンバーとして在籍している。その他にも【Old Forest】のJames Fogarty、【1349】のArchaon、最近までなりを潜めていた【The Kovenant】のNagash(久しぶりに名前を見た気がする…)らがゲスト・ミュージシャンとして参加しており、何やら凄いことになってそうなこの音源、実際に蓋を開け聴いてみてもやはり凄い音源だった(笑)。

アグレッシヴでありながら決して甘くならない叙情メロディを随所に盛り込み、苛烈かつ鋭いドラミングを武器に立ち回る、言わば今時のハイレベルなサウンドが全編に渡り綴られる。音質は少し硬質に調整されており、ブラック・メタル特有のしょぼさ(いい意味での味と言うべきか)は全く感じられず、あくまでエクストリームなメタルといった観点でプロフェッショナルな音源に仕上げている。

所謂、生まれた時から既に優等生タイプってヤツだ。

一糸乱れぬタイトな演奏を繰り広げており、隙が全く見当たらない実にパーフェクトな仕事っぷりなので、本来ブラック・メタルが持っている旨味に欠けるといった側面は否めないのだが、肝心の楽曲(メロディといってもいい)がそれらを帳消しにする程に印象深く仕上がっているのが何よりも最大のポイントだ。

そんな中、筆者にとってのキラー・チューンは#3の”Djevelen i nord”である。メロブラの王道と言えそうな楽曲だが筆者のツボを刺激するカッコ良さで正直かなり悶絶した。緩急を付けながらも猛然と突っ走る嵐のようなドラミングの中、感情を揺さぶってくるトレモロによる泣きフレーズが荘厳だけど何処か物悲しいニュアンスを放っておりタマラナイ。全曲どの曲も甲乙つけがたい程にカッコイイのだが、この曲だけは突出してお気に入り。正に名曲だ。

またアルバム中、最も叙情的で10分ある大作#9”Norges sorte himmel”が描き出す濃厚なNordicさ加減にも、ノルウェーのバンドらしい母国に対するリスペクトが感じられグッと心を持っていかれた次第。ここで展開されるメロディもまた素晴らしい。

この様に初っ端から既にベテラン・レベルの安定度があるのには驚くが、やはり伸び代といった面ではちょっと心配してしまう。よくファースト・アルバムがピークだったってパターンが多い中、このバンドにはネクスト・レベルを期待したいし、イケるとこまでいって欲しいと切に願う。

しかし、まぁ、とんでもないバンドが現れたもんだ。Great!