Slægt


Ildsvanger

1STフル(2015/2016)/From:デンマーク/Style:Raw

slaegt_1st

【Track】
1.Der er kraft i det onde
2.Ildsvanger
3.Svækling
4.Vidderne bag dig
5.Tabt kød
6.Indviet med blod
7.Udlængsel
8.Ung og stærk
9.Den store intethed
10.Her vil jeg dø
11.Lysets død
12.Alderdom
13.Månens dag
14.Det første efterår
15.Brænd dem alle

【Review】
二人組ブラック・メタル。Final Agony Recordsから2015年にカセット/アナログでリリースされた音源にボーナストラック(これまでリリースされた1ST Demo、Split音源が全て含まれている)を加え2016年にFinal Agony Records、Tour de Garde、Vama Marga Productionsが共同でCD化したモノ。

私的にドツボ、コレは無茶苦茶カッコ良い!

随所にメロウなパートを挟みながらギャンギャンと鼓膜に突き刺さる刺々しく掻き鳴らすリフにわかりやすいメタリックさが加わっており、ドタバタした2ビートや前のめりなブラストを基調とする極めてノリ良く疾走するフェチ御用達ご機嫌サウンド。また、マイクがぶり付きでヘイトをガナり撒き散らすヴォーカルも迫力満点で、どこを切っても喧しく強烈な印象を残す。

整然とした音作りでは表現不可能な衝動剥き出しの”Raw・ブラッケンド・ヘヴィ・メタル”(パンキッシュな所もあり)といった所か。何よりも音作りが荒々しくRawな勢いに乗って文字通り”炸裂する”のが最大のポイントで、荒涼感を紡いでいくと従来のブラック・メタル感というよりかは漢臭いメロディックなメタルを思いっきりRawな音質で演っているといった感じだろうか?

この感覚、敢えて引き合いに出すならフランスのカルト・ブラック・メタル【Vlad Tepes】辺りが演りそうなレトロなヘヴィ・メタル感によく似ている。もっとも、こちらの方はより刺々しいエクストリームな音で覆い尽くされているのだが。

この様にLo-Fiで荒削りな音とはいえ、何を演っているかがわからないほど音が潰れているワケでも録音レベルが小さかったりするワケでも無いので衝動がダイレクトに伝わってくる。Rawブラックとヘヴィ・メタルの中間に位置するような微妙なバランスもまた素晴らしい。

極上プロダクションのカッチリ作り込まれたメジャーな音が好きな方にはオススメできないが、衝動重視の熱いRawさ加減に惹かれる方には胸を張ってオススメできる強烈な逸品。

個人的にチョーキモチイイ、イチオシ!


Beautiful and Damned

EP(2015)/From:デンマーク/Style:ヘヴィ・メタル

slaegt_ep

【Track】
1.Move in Chaos
2.Alshincheri
3.Church of the Night
4.Beautiful and Damned

【Review】
メンバー増員で4人組になった模様。今回はNecroshrine Recordsからのリリース。因みに現在はIron Bonehead Productionsに移籍している様である。

音質が飛躍的に向上しており、衝動から湧き出るエクストリームな路線は完全に影を潜め、思いっきりヘヴィ・メタルになった。演奏自体は至極真っ当なヘヴィ・メタルでブラック・メタルの面影を残すのは最早ディストーションの掛かったヴォーカルのみとなっている。また、パンキッシュさも完全に無くなっている。

ブラック・メタル馬鹿な筆者はホント久しぶりに聴いた感覚…めっちゃ正統派やん(笑)

この様な変化は時に”メロデス化”と言われる事が多いと思うのだが、もっと本格的なヘヴィ・メタル化になっているといった感じだろうか。ツインギター体制になった事が大きく、節々で紡がれるギター・ソロとかメタル的なエモーショナルに溢れているし、特にあざとさも感じなかったので抜群のセンスを持っているのだろう。#2”Alshincheri”辺りが顕著で掛け値なしにカッコ良い。

ブラック・メタル的にあ~やっぱソッチ方向に行っちゃったのね…というのが正直な感想だが、実のところ根底にあるモノはそれ程極端には変わっていない。前作でRawで荒々しい中にもヘヴィ・メタル感は確かにあったので、一応は延長線上にあるモノだと言えるし、中途半端なメロデス化よりも断然好感は持てた。

ヴォーカルのスタイルを変えて正統派メタルの道へと進むのか、この路線で進むのか少し興味深いところではある。久しぶりに基本を叩き込まれた様で面を食らったが…

いやいや普通にカッコ良いでっせ。