Sühnopfer

Nos Sombres Chapelles

1STフル(2010)/From:フランス/Style:ペイガン│メロディック│Raw

suhunopier_1st

【Track】
1.Nos sombres chapelles
2.” Vous, ou la Mort ! ”
3.Partir à l’ost
4.” Espérance ! ”
5.Errements d’un pestiféré
6.Reliques (part 1)
7.Reliques (part 2)

【Review】
【Peste Noire】の5THに加入したArdraosが動かしている独りブラック・メタル。

瞬発力を伴ったファストなドラミングが印象深いが、特筆したいのはそのメロディである。仏産特有の憂いに満ちたメロウさ、そしてペイガンっぽさを併せ持った激しくもメロウな逸品である。感情を煽り倒すかの様なメロディが忙しなく乱舞し、ギターの速弾きはあるわ、煽情力あるわでメロディを乱暴にブン廻している(笑)そこに悲哀に満ちた激情ヴォーカルがギャーギャー喚き散らすもんだから、耳に入った時のインパクトは中々のモノであった。何と言うか全てにおいて一切の迷いが無く、突っ走りながら一心不乱にメロディを紡いでいく…そんな表現ができそうな音かと。ブラック・メタルにおいての邪悪さと言うよりかは、哀愁・激情といった言葉が間違いなくキーワードとなる。若干、メロディが忙しない面が気になるが、そこがまた味でもあり、軽快なドラミングがその激情に拍車を掛けているかの様だ。正に頭からケツまでメロディの大洪水。

メロい仏産を…といった需要にしっかりと応えてくれる…そんな音源ではないだろうか。

 

Laments/L’Aube des Trépassés

Comp(2014)/From:フランス/Style:ペイガン│メロディック│Raw

Suhnopfer_comp

【Track】
Laments
1.White Throne of Purity Enveiled
2.Dust of Passion
3.Forest of Ice
4.Laments
5.Insane Catharsis
6.Jeg er Draugr
L’Aube des Trépassés
7.Brûme sur le Châstel
8.Aux Aurores
9.L’Aube des Trépassés
10.Tourments et Pleurs

【Review】
Ardraosの独りブラック・メタル。2004年のデモ音源”Laments”と2007年のEP”L’Aube des Trépassés”がカップリングで入っているお得盤。2NDフルリリースに合わせ、Those Opposed Recordsより再発。1ST以前の音源集という事で1STから入った筆者にとって大変興味深かった音源。想像通り(期待通り)の大胆メロディック・サウンドが炸裂。
Laments
まだ荒削りな部分があるが、メランコリック&リリカル&Raw!日本人が好みそうな要素が全部入っている部分は後の音源へと継承していっている模様。実にメロディアス。明らかにスウェーデン産辺りのメロディック・ブラック・メタルとは異なる質感を放っているのが印象深い。流石は仏産と言わざるを得ないだろう。何と言ってもメロディックでありながら初期衝動溢れる勢いみたいなRawさがある所が【Sühnopfer】における最大の特徴ではなかろうか。若干、長尺気味なのだがアコギを絡ませ展開がやたらと多いのも特徴の一つ。まだデモ音源なので荒削りな部分が目立つとは言え、確実にメロウ派を唸らせるだけのインパクトはあると思われるし、納得の仕上がりでは無いだろうか。
L’Aube des Trépassés
前作のデモから3年後にリリースされた本作は音がやや整理され、ほんの少しだが音質が向上している。また、前作に比べ、ほんの少し展開がストレートになったと感じた。故に印象深いメロディが楽曲内でより映えており、少し語弊があるかもしれないがキャッチーになったと言えるかもしれない。更に、そこにペイガン/ヴァイキング風の漢臭い勇壮なコーラスも入ったりと大幅にクサ味を足し算しているのである。より大胆に、よりメロディックに…といった順当な進化を遂げている様に思う。激しくも哀愁が迸り激情的な#10には悶絶した次第(笑)個人的にコレは突出して良かった。この様にメロウ派は安心して身を委ねられる作品である。尚、この路線はしっかりと1STへ継承されていった模様。素晴らしい。

 

Offertoire

2NDフル(2014)/From:フランス/Style:ペイガン│メロディック│Raw

Suhnopfer_2nd

【Track】
1.Introït – Saints Mystères
2.Sonnent les Aurisses (Montmorillon)
3.Les Légendes de l’Ours
4.Majestueux Repaire
5.Chevalier Maudit
6.La Tour du Pendu
7.Messe des Morts
【Review】
Ardraosの激情メロディック&Rawブラック。

今回も期待を裏切らない素晴らしい仕上がり。もはや安定感、安心感は抜群ではなかろうか。ほぼ変わらない作風だが、回を増すごとにRawさを著しく損なうこと無くクオリティは上がっている様に思うし、今作では良い意味で仏産っぽさが薄れつつある様に思う。何と言うか、完全に板に付いてきた感じで、しっかりと個性に昇華していると思う。

メロウかつ勇壮なメロディを息を次ぐ暇も与えてくれない程に吐き出しつつ、前傾姿勢で突っ込むその勢いに一片の迷いも感じられない。また、一方で限定的ではあるが力強い刻みリフを忍ばせておりアクセントとして非常に良い感じの隠し味となっている。個人的なツボはやはり#4~#5にかけてのドラマティックな流れだろう。アコギを絡ませトラディショナルな美旋律から一転、疾走激情ブラックへと雪崩れ込む部分には強く惹かれた次第。また、#10ではグレゴリオ聖歌っぽいアレンジが入っていたりと意外性があったり「おっ?」と耳を惹く所も多かった。

月並みな言葉だが、前作が気に入れば今作も間違いない作品と言えるだろう。相変わらず素晴らしい。Good。