Wraths of Time

EP(1995)/From:スウェーデン/Style:ブラック・メタル

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【Track】
1.Wraths of Time
2.Upon Blood and Ashes…
3.Conspiracy – Preview
4.Outro

【Review】
故Jon Nödtveidtの実の弟、Emil Nödtveidt(ここではNightと名乗っている)が在籍していた事で知られるブラック・メタル・バンド。後にメロディックなデスラッシュ方面へ舵を切ったかと思うと、更に【Deathstars】と名前を変え、まるで【Rammstein】の様なゴス・バンドへと変貌していったのが記憶に新しい。そんな彼らも初期では真っ当なメロディック・ブラック・メタルを演っていたのがこの音源である。

勢い任せにかっ飛ばし、演奏、音質を含めいい意味での荒削りさが良い味を出している。気迫に満ちたドラミングと寒々しいトレモロから刻みリフを織り交ぜビシバシと展開する#1が中々のインパクト。メロディックなデスラッシュとブラック・メタルが掛け合わさった様な路線と言えそうだ。この後に完全にデスラッシュ路線に方向性を変えるが、その予兆は既に表れているといった印象だ。ヴォーカルレスで短い曲の#3や#4はインストなので事実上2曲しか入ってないので食い足らなさが半端ないが、彼らがブラック・メタルっぽい楽曲を演っていた唯一の音源。(コープス・ペイントもしてる)

これを入手してた当時はネット環境も無く、この手の情報の頼りはお店の説明ポップのみ、そんな環境で音源を聴いて育った筆者にとって、思い出深い音源の一つである(遠い目)しっかし、ホント便利な世の中になったもんだ。今じゃネット検索したら一発で出てくるもんなぁ。。

 

Postmortem Tales

1STフル(1997)/From:スウェーデン/Style:メロディック│デスラッシュ

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【Track】
1.Indeathstries-The Masters Possession
2.Crush to Dust
3.Postmortem Tales
4.Past Redemption
5.Claws of Death
6.Blood Legacy
7.The Serpent Season
8.Metallic Devastation
9.Black Ace

【Review】
ドラマーが交代。ここでは【Runemagick】や【Deathwitch】【Sacramentum】で活躍していたTerrorが叩いている。更にはプロデューサーに【King Daiamond】のAndy LaRocqueを迎え仕上がったのがコレである。

Andyが関わったことによる影響は少なからずともあるだろうが、今回は完全にメロディックなデスラッシュに転身したアルバム。前作、EPでのブラック的要素をまるっと封印し、スラッシュ部分を大幅に強化、更にエッジを利かせた路線である。実に明快で即効性も高く、プロダクションも整理され、かなり垢抜けた印象だ。たまにブラストするが、基本的にスタスタと軽快に走り、ザクザクと細かく刻む気持ちが良いリフを積み重ねる。また、良い加減のメロディが程よく入り込んでくるので実にメタリックで聴きやすい。変に凝らない小気味よいリフはやっぱりテンション上がるし、中高音で捲し立てるように吐き捨てるヴォーカルも疾走感を引き立てるわでホント純粋にカッコ良い。

音像は割と初期【The Crown】辺りに近い感触か。

 

Deathraider

EP(1998)/From:スウェーデン/Style:メロディック│デスラッシュ

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【Track】
1.Death Rider 2000
2.Firefall of the Fireball
3.Necronaut Psychout
4.Iron Corpse
5.Stand for the Fire Demon (Roky Erickson and the Aliens cover)

【Review】
前作と同じメンバーにより制作された音源。

当然、延長線上の音楽性だが、作風に幅を利かせた印象。言わずもかな、安定した完成度で実に安心して聴ける内容である。相変わらずザックリしたリフと良い加減のメロディが心地良い。やや前作と比べメリハリが利いており緩急がよりハッキリしているので、一聴して直線的なスピードは抑えられた印象。N.W.O.B.H.M.の香りとノリを聴かせる#3は割りとオーセンティックなメタルの側面がある事が垣間見れるし、#4も彼らの中では最もハードでデス・メタル寄りだと言える。加えて#5、元ネタは知らないし、聴いた事も無いのだが【Roky Erickson】のカヴァーを演っており、ハード・ロック・テイストを披露したりして幅を利かせている。

もはや、当サイトで紹介するにはブラック・メタルの”ブ”の字も無いが、普通にカッコ良い。

 

Moribund Transgoria

2NDフル(1999)/From:スウェーデン/Style:メロディック│デスラッシュ

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【Track】
1.Deathspawn of the Eibound
2.Towards Erotomech Eve
3.The Angels and the Masters
4.Metalmorphosis – The Sweat of Cain
5.Sulphur Skelethrones
6.Moribund Transgoria
7.Doom at Motordome
8.The Grotesque Extravaganza

【Review】
ギターが一人増え5人組となった。よってツインギター体制に。

必然的にギターソロが大幅に導入されており、メロディ要素がより大胆かつ大増量。前回の”Deathraider”で感じられた緩急(メリハリ)も引き継いでおり、よりメタルらしいアルバムに仕上がったんでは無かろうか。特にエモーショナルなギター・プレイに聴かせどころがシッカリあり、アグレッションとの兼ね合いも概ね完成に至ったのでは?といった印象である。メタル畑の方には受け入れられやすく窓口も広いと思うし、エクストリーム系の手始めにも最適なんでは?と思う。なんせ久しぶりに聴くとこんなにメロかったっけ?と思ってしまった位だ(笑)1STの頃よりかは直線的なスピード感は落ちた気もする分、ヘヴィ・メタルらしい構築美は今作が一番まとまっているし、完成度も高い。

因みにこの後、バンドは解散(改名?)して【Deathstars】として活動する事になる。