Vornat(S/T)

Comp(2016)/From:フィンランド/Style:ブラック・メタル

【Track】
1.Korppi
2.Azagthoth
3.Self-Mayhem
4.The Flame of Satan
5.The Eighteenth Key
6.Prelude to Hate
7.Into the Nightly Sky
8.Sword of a Thousand Funerals
9.Grim
10.Unholy Evil One
11.Massacre of Life and Death
12.Serpent Revival
13.Omen

【Review】
結成は1993年と割と早い時期から活動していたThaukhnifur率いる90’sトゥルー・フィニッシュ・ブラック・メタル。初期のデモ音源やプロモ音源(全てテープでのリリースだった)を網羅した生粋のアンダー・グラウンド音源がリマスターされ現代に蘇る!Breath of PestilenceからCDでリリースされ、アナログ盤もアングラ最重要レーベルDarker than Black Recordsからリリースされている。

フルレングスを一枚もリリースしておらず、【Hellfucked】とのスプリット音源(02年)以降リリースが止まっているが活動しているかは不明、一応、MetaliumではActiveになっている。作品の構成としては”The Flame of Satan”94年デモ音源(#1-#5)、”Gjotnejm”96年デモ音源(#6-#9)、”Promo2002”02年未発表プロモ音源(#10-#13)で構成され、これ一枚でバンドの音源全てを時系列で追える有り難い仕様となっている。特に”Promo2002”は完全未発表らしく一般的にはここでしか聴けない音源となっている。どの音源も90’sブラック・メタルマニアをニンマリさせてくれる音源だと思うし、オールド・スクールでありながらメロウかつRawなサウンドがお好きなら避ける理由は無いだろう。どの音源もシンプルにカッコ良い!

94年のデモ音源では97年に自殺してしまった初代ヴォーカルであるAhriman(R.I.P)によるEvilなヴォーカル(90’sらしい如何わしさ満点!)が冴え渡り、シンプルに掻き鳴らされるリフ、程よく聴こえるベース、そして2ビートで展開するといった至って予定調和通りのアングラ・サウンドで展開。プリミティヴというよりかはオールド・スクールなカッコ良さを有した音源だ。極端にメロウでもない素朴さがとても渋い。尚、#5”The Eighteenth Key”の詞はアントン・ラヴェイの”Satanic Bible”からの引用である。

続く96年のデモ音源は荒涼感とメロウ度をグッと上げており#7”Into the Nightly Sky”ではアコギを取り入れたり、トレモロでメロディを奏でるなど、枯れ果てた叙情性を紡ぎ出す素晴らしい楽曲を披露。またチープだが味のあるシンセが挿入される#8”Sword of a Thousand Funerals”や#9”Grim”なんかも秀逸で90’s好きにはたまんない音源に仕上がっているのではなかろうか。

最後に02年のプロモ音源はフィンランドらしくメタリックな旋律に拘ったメロディ重視の作りになっており、特にラストを飾る#13”Omen”は勇ましさとメロウさが合わさったようなクドイ程のメロディが大爆発する楽曲だ(しかもリフレインが長い)。何故かこれだけ群を抜いてメロウでありフィンランドらしさが垣間見れる楽曲に仕上がっている。

この様に非常にオーソドックスなサウンドでありながら渋めのスタイルからメロウなスタイルまで楽しめると同時に決してオーバーグラウンドに浮上することのないアングラ・サウンドの面白さを改めて再確認する事が出来る好盤だと思う。

特に94年デモと97年デモは素朴にカッコ良いし、冬山で火を吹いてるジャケットの時点で満点だ(笑)