Tam, gdzie miesiąc opłakuje świt

1STフル(2013)/From:ポーランド/Style:アトモスフェリック

【Track】
1.Wędrujący wiatr
2.Tam, gdzie miesiąc opłakuje świt…
3. …A nurów krzyk wiatr na skrzydłach nocy niesie
4.Wędrowiec wyciąga starczą dłoń w stronę gwiazd
5.W srebrnej łunie, pośród chłodów nocy

【Review】
R.とW.のコンビが放つネイチャー志向の吟遊詩人的アトモスフェリック・ブラック・メタル。Werewolf Promotionからリリースされた。

月明かりが照らす仄暗い森林から聴こえてくる狼の遠吠え、フクロウの鳴き声…そんな大自然から溢れ出す神秘性を切り取り、仄暗くも情感豊かに叙情詩を紡ぎ出す傑作。そういった太古の森林における”夜の帳”を表現したような世界観にイマジネーションが掻き立てられる。

総じて、奥に引っ込んだ音作りになっているのがポイントであり、単にプロダクションの都合というよりかは、ちゃんと計算されアナログ気質な音質にしているであろう事がハッキリと伝わってくる。何というか、森の奥から鳴っている様なイメージ。また、母国語でガナる嘆きにも怒りにも似たヴォーカルがこのサウンドにバチっとハマっており音源が醸す魅力を引き立てている様にも思う。

この手に欠かせないアトモスフィアを放つシンセも実にいい塩梅で、ギターサウンドと絶妙に重なり合いながら、派手過ぎず、自己主張が強すぎたりもしない融合性で主軸になる叙情詩を派手に爆発させるワケでもなく、ある一定の感情ラインを保ちながら抑圧的に紡いでいく様は実に見事でなのである。

尚、一曲が10分以上は当たり前の長尺アトモスフェリック系を一応は踏襲しているモノの90年代のポリッシュ・ペイガン・ブラックの感覚も匂わせる辺りや、ボコボコとRawに疾走するパートなどもブラック・メタルとして好感触だ。

根底にあるのは【Wolves In The Throne Room】を代表とする自然崇拝的なモノだが、もう少し古の物語を弾き語る吟遊詩人的な要素を何処と無く匂わせていると書けば伝わるか。

どの曲も素晴らしいが、特に筆者がオススメしたい楽曲は#3”…A nurów krzyk wiatr na skrzydłach nocy niesie”である。狼の遠吠えとリンクしていく抑圧的な叙情性は絶品であり情景の場を表すかの如く空気感(風の音が微かに入ってるのを確認できる)まで表現したキラーチューンである。

同郷である【Sacrilegium】の傑作”Wicher”辺りのファンや叙情派にはタマラナイ逸品。Great!

 

O turniach, jeziorach i nocnych szlakach

2NDフル(2016)/From:ポーランド/Style:アトモスフェリック

【Track】
1.Ze szczytów i z toni
2.Wołanie z granitowych twierdz
3.Ja, wiatr
4.Gdzie wiatr tka makatki nocy
5.Na Łańskam jyziorze
6.U stóp śniącego króla Tatr

【Review】
R.とW.による吟遊詩人的アトモスフェリック・ブラック・メタル第二章。今回もWerewolf Promotionからのリリース。

古い物語のワンシーンを切り取った様な版画調の素敵なアートワークからも伝わる通り、古い伝承を語る吟遊詩人といったイメージが音としても明確になっている様に思う。

基本的なベースは変わっておらず、自然に息吹くSEやアナログ気質な音質、はたまた母国でガナるヴォーカルなど一通り継承されているので大枠での印象はそれほど様変わりはしていない。勿論、情感に訴える抑圧的な叙情メロディも健在だ。

今作はそこにフォーク色を少し足し算しており、民族楽器っぽい音色がチラホラと使われ、心持ちフォーク色が強まったのが特徴の一つとして挙げられる。また、楽曲の展開が著しく増しており、総じてドラマティックかつ幅を広げた様な、辿るべくして辿った堅実な進化を遂げている様に思う。故に前作を好むならまずは間違いない作品に仕上がっている。

しかしながら、展開が増し複雑化した分、ややオーバーな表現になっている箇所が幾つか見受けられ、楽曲の流れに若干のクサみが増していたり、印象的な抑圧的叙情メロディも展開過多により少し分散してしまったという傾向が感じられた。

故にフレーズは絶品ではあるが、通して聴いた時のインパクトは決して前作を上回らなかったのが正直な所だ。好みもあろうかと思うが、それを考えると素朴な1STのバランスは実に素晴らしかった様に思う。

特に顕著に感じたのはラスト#6”U stóp śniącego króla Tatr”だろうか。13分ある大作だが、一曲に四分程度の小曲が三曲連なった様な構造の為、印象としてやや散漫に感じてしまった次第。出来ることならトラックを分けて一曲一曲を今まで通り掘り下げて欲しかった様に思う。

と、なんだかんだ書いてはいるが、傑作1STと比べての話なので普通に安心して聴けるし、アーティスティックで高レベルな作品なのは間違いない。アトモスフェリック系やペイガン系ファンは耳に入れておいて損は無いだろう良作に仕上がっている。ホント、パーツは絶品!

Great。