End (Grc)

End(S/T)

1STフル(2002)/From:ギリシャ/Style:ブラック・メタル

end_1st

【Track】
1.Sick
2.Pitiless Paranormal Reek
3.Nails and Forests
4.Humanitarianism
5.Come Blackness Feed Me
6.Pessimism

【Review】
Draenzarth率いる4人組ブラック・メタル。ISO666よりリリースされた。

実はこのアルバム、非常に印象深い作品である。とは言え、音源の内容とは全く違う部分での話なのだが。

実は【End】のパッケージの中身(CD)が同郷の【Forest】の1STと入れ替わっていたと言う、通常あり得ない事案に巻き込まれてしまったのである。そう言った経緯もあるので筆者にとって印象深く忘れられない作品なのである(笑)

幸いにも【Forest】の1STは事前に買っていたので、旧サイト時代に同じ被害にあわれた、ある方とBBSを通じ交換に応じてくれたので事なきを得たのだった。一方、同じ被害にあわれた方は【Forest】の1STに【End】の1stが入ってたらしい。

どうやらテレコになってたみたい。

まぁ、筆者も筆者でCD盤をよく見ずにプレイヤーに突っ込み聴いていた為、暫く【Forest】を【End】だと思って聴いていたり、【Forest】に関してはだいぶん前に聴いていたのにも関わらず、同じだったと気付かなかった、だとか…色々とアホ過ぎたんだが(笑)

terekojiken
分かり難いので図にしてみた(笑)

このテレコ事件、少なくとも筆者を含め3人の方が犠牲になっていたみたい。長年音楽CDを買い、聴き続けてるけどこの事例は流石に初めてだった。恐らくはISO666の手違いだと思われるのだが…

まぁ、筆者とISO666との因縁はコレに始まった訳では無く、このテレコ事件の他にも、当時使っていたCDプレイヤーとISO666製のCDソフトとの相性が悪く、商品によっては全く読み込まない事が多々あった。(パソコンや他のプレイヤーなら掛かるので単純に相性問題だと思われる)

つくづくISO666とは相性が悪かったのである。まぁ、今となっては良い思い出である(笑)

さて、前置きが長くなったが無事に元の鞘に収まったっつーことで音源のレビューでも始めよう…。

まず、バンドロゴが意味深で印象的。木々と月と山がロゴ内にハッキリと描かれており、音の内容もバンドロゴが示す雰囲気と概ねマッチングしていると思う。退廃と荒廃しか感じられないようなリフを軸に猛然とドラムが走り抜け、時折、アコギや男性コーラスにより暗きトラディショナルさを仄かに漂わす程度に演出、ヴォーカルは中高音でガナリ散らすスタイルである。楽曲に苛烈な激しさはあれど適度に湿っており程良く雰囲気重視にもなり得る様な作風。尚、#4はスラッシュっぽく攻撃的な側面もあったりして、割りと幅も広いと思う。ブラック・メタルとして地味に湿りながらもスタンダードな良さがある音源といった印象を受けた。総じて実に渋くまとまっておりカッコ良い音源といった所であろう。

ただ、音源が悪い訳では無くとも、冒頭での事件もあって筆者の印象はヨロシクない(笑)

今となっては倒産してしまったがISO666、ちゃんと仕事しろ!と叫んでおく。

 

2NDフル(2003)/From:ギリシャ/Style:プリミティヴ

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【Track】
1.Dying Demon
2.Funeral Pyre
3.Defalcation of Psychopathia
4.Solus Pro Icendio Vitae
5.Winterfog
6.Damned Forest
7.Nebula
8.Pierced Genitalia (Carpathian Forest cover)

【Review】
流石に今回は大丈夫だった模様(笑)

シンセ奏者が抜け3人組になった様だ。ギターの音がより荒々しくノイジーに掻き鳴らし、曲の輪郭が前作と比べ掴みにくく曖昧になっている。また前回のような激走パートはあるのだが、ミドル・チューンが大幅に増えている印象が強い。

音の耳触りに関して言えば前作より明らかにプリミティヴになった印象を受けるのだが、ドラムが巧みに緩急を付けており聴き飽きない作りになっている。また、ブラック・メタルとして邪悪さが明らかに増している傾向にあり、楽曲の輪郭がハッキリしない曖昧さも個人的にはプラスに転じている様に思えた次第。

前作以上にアングラ感が増しており、アングラ・ブラック・メタルとして”雰囲気良し”、”邪悪さ良し”の素晴らしい音源である。勿論1STも素晴らしいが、これはこれで的確に的が絞れており非常にカッコ良い。ノイジーなギターが鳴り響く中、バックでさり気なくアコギを使い雰囲気を作っているパートなんかはタマラナイ。尚、#8は【Carpathian Forest】のカッコ良いカヴァーである。

プリミティヴに抵抗が無ければ絶妙な逸品なので一度お試しを。

 

3RD(2008)/From:ギリシャ/Style:プログレッシヴ(あえて)

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【Track】
1.Catastrophe
2.Self-Eating Mass
3.Still in Flesh
4.In the Womb of Sick
5.Lavish Gloom
6.Ugly and Bygone
7.The Largest Hearse
8.Megalomania

【Review】
Draenzarth以外メンバーを一新、再び4人体制になっている。Black Hate Productionsよりデジパックでリリースされたモノ。それに伴い、音楽性も随分と変わった作品である。

まず目が醒めるようなファストな勢い、そして緩急をしっかり意識した楽曲群、何と言っても随所にメタリックなフックが伴った展開が施されている所が一聴して変わった所であろう。音のクオリティも言わずもかな1ST、2NDと比べモノにならない位にパワーアップしている。この6年間で一体何があったんや!?と思うほどの変貌っぷり。ただ、変貌したとは言えアングラ感をキープしながらのクオリティ・アップなので”妙に色気あるメタル”といったやり過ぎな所までは踏み込んではいない。完璧にブラック・メタルを保っているといった匙加減は流石と言いたい。

路線が変わったとはいえ、コレはコレで的は絞れているし問題なし。むしろ、多くの人に受け入れられる幅広さを手に入れた事だろう。また、楽曲には展開が目まぐるしく、勢いある部分、逆にスローに落ち込んでいく展開や雰囲気を醸す部分などバリエーションが多く、起伏ある曲展開、もはやプログレッシヴに成長したと言っても過言ではない。なのでここはあえてプログレッシヴとして分類しておく(少々強引だが/笑)

ズバリ素晴らしい進化である!

但し、以前までの【End】やアートワークの様な陰湿な森林系を期待すると全く違うので注意。(逆も然り)