Ildjarn

Ildjarn(S/T)

1STフル(1995)/From:ノルウェー/Style:プリミティヴ

ildjarn_1st

【Track】
1.Skogsslottet
2.Kulde
3.Tåkeheim
4.Snøen dekker
5.Skogssvinet
6.Svarte grangrunn
7.Krigere
8.Atter en gang
9.Nordiske mørke
10.Blikkets storhet
11.Himmelhvelv
12.Huset i skogen
13.Draumeheim
14.Svarte fjell
15.Mørkeheim
16.Himmelen svartner
17.Der det skjulte lever
18.Som en ensom borg
19.Vinden biter
20.Mørket slynger seg
21.Skogrommet
22.Innover i dalsøkk
23.Lydløst over åsen
24.Tildekket og kald
25.Det mørkner
26.Dødmørke
27.Dødmørke

【Review】
自然をこよなく愛するIldjarnによる独りブラック・メタル。一時期【Thou Shalt Suffer】でベース弾いていたり、【Emperor】のLiveサポートを努めていた事もある事で知られている。尚、Norse League Productionsより1995年にリリースしたモノ。2013年にSeason of Mistより再発されており、そちらの方はアートワークが大幅に異なっている模様。

一体どの辺が自然崇拝なのか音だけでは決してワカラナイ、禁断のミニマル・サウンドが炸裂。シンプルで単調な掻き鳴らしギターリフを繰り返し積み上げ、ドラムと言うよりかはカスタネット(?)みたいな音でカチカチとリズムを刻み、その上を邪悪にガナるヴォーカルが語りかけてくる。おまけに曲の終わりは呆気無く突然終わったりする気まぐれさ(笑)この一連の流れがトレード・マークであり最大の個性となっている。そういったパターンの一本槍かと思いきや、歪んだ音でのアンビエント風チューンが(#10-#11)突如として入り込んだりと良い感じで意表をついてくるのだが、すぐに切り返し同じ作風に戻っていく…。

正直、ここまでは、別段どうって事は無い。が、しかし「これぞIldjarnの真骨頂だ!」と感じるのはラスト4曲(#24-#27)で突然訪れる。ここだけが何故か神憑っておりノイジー過ぎる音質に苛烈さが際立っており”剥き出しのプリミティヴさ”を聴かせてくれる。

このアルバムにおいてはラスト4曲が異常にカッコ良い。

 

Det frysende nordariket

Comp(1995-1997)/From:ノルウェー/Style:プリミティヴ

ildjarn_comp1

【Track】
Norse:EP(1994)
1.Mørklagt sti
2.Svarte hjerter
3.Nattens ledestjerne
4.Natt og tåke
Ildjarn:Demo(1993)
5.Innferd/Kronet
6.Sola skjultes
7.Ild
8.Fjerde dag
9.Et glimt
10.Støv og aske
11.Øde
12.Utsyn, del 1
13.Utsyn, del 2
14.Utsyn, del 3
15.Utsyn, del 4
16.Utsyn, del 5
17.Demring
Minnesjord:Demo(1994)
18.Minnesjord, del 1
19.Minnesjord, del 2
20.Minnesjord, del 3
21.Minnesjord, del 4
22.Minnesjord, del 5
23.Minnesjord, Del 6
24.Myrkvar
25.Dalens ånd (Avslutning)

【Review】
1993-1994における主要なデモ音源とEPを詰合したありがた~いコンピレーション。全25曲1時間以上に渡り、Ildjarnワールドと向き合える逸品(笑)Norse League Productionsより1995年にリリースされているが、筆者の所有している音源は1997年に再発(セカンドプレス?)されたデジパック・ヴァージョン。さて音源の方はTrackを見てもらうと判るように3つの作品の集合体である。
【Ildjarn-Nidhogg】Norse:EP(1994)#1-#4
度々、Ildjarnとタッグを組むことになるNidhoggなる人物との共同制作。表記が【Ildjarn-Nidhogg】となっている。数多のIldjarnサウンドの中でも、かなり聴きやすい位置にあるサウンドとなっており、単純にパンク色が妙に強かったりする。かなりノリの良いリズムにクセになりそうなリフ、邪悪なヴォーカル(Nidhoggがヴォーカルを演っているらしい)が乗っかている。Ildjarn入門に最適といえる。
Ildjarn:Demo(1993)#5-#17
【Emperor】のIhsahnをゲストに迎えての作品。ここでヴォーカルを遣っているのもIhsahnである。初期【Emperor】をもう一周り邪悪にしたような強烈な絶叫ヴォイスがタマラナイ。そこにIldjarnサウンドの王道と言える無愛想に掻き鳴らす単調なリフが乗っかり、何故か心地よい単調なリズムで淡々と進んでいく。しかしながら、これでも彼の音源の中でもほんのりと展開があり、似たり寄ったりの作風の中でも割りと変化があり面白い音源となっている。やはり聴きどころはこの上なく邪悪に喚き散らすIhsahnのヴォーカルである。彼の仕事っぷりがホント素晴らしく、Ildjarnサウンドに素晴らしい息吹を与えているのは間違いないだろう。Good!
Minnesjord:Demo(1994)#18-#25
完全にIldjarn独りだけで仕上げた音源。まぁ通常運転といった所であり特に突出した部分や作風に変化は無い(笑)因みに徹底したノイズとミニマルな要素を強めたのもこの音源からでは無いだろうか?ヴォーカルレスの曲が多く、途中で「や~めた」と諦めたような終わり方も健在。

 

Landscapes

2NDフル(1996)/From:ノルウェー/Style:アンビエント

ildjarn_2nd

【Track】
Disk-1
1~12.Untitled
Disk-2
1~10.Untitled

【Review】
Ildjarnの自然崇拝を極端に具体化した作品。【Ildjarn】関連の作品しかリリースしていないNorse League Productionsから限定250枚でリリースされた作品。2007年にAngerboda Recordsから再発しているモノの限定150枚と、やはり極小リリース。尚、非常に入手困難な作品。コレを書いている時点で、あるにはあるみたいだが、値段を確認したら目ん玉飛び出るくらい値が高騰していた…。買ってて良かった。

Ildjarnのマニアやコレクターでも無ければ素直にスルー推奨。メタルの”メ”の字も無ければブラックの”ブ”の字も存在しないので….。さて、音源の方は全編シンセによる美しくも癒しのアンビエント・ミュージック。生粋のアンビエントなのでメロディと言うよりかは全編、空気感を楽しむ様な作風。変化に乏しい微妙な音の変化を聴くと言うよりかは只管に浴びる続ける…といったイメージが正しい様な気がする。

内容はまさにランドスケープ(田舎の風景)

目を閉じると北欧の大自然が目に浮かぶような作品である。曲名が無いことから先入観なしに音を聴くことが出来るので、個人的な主観で書くとDisk-1は極寒の大地の静かな夜を、Disk-2は極寒の地の朝焼けをイメージした次第。似たような展開が続くので瞑想するには良いかも知れない。

因みに全編をまともに聴くと2時間ある。

 

Strength and Anger

3RDフル(1996)/From:ノルウェー/Style:プリミティヴ│ノイズ

ildjarn_3rd

【Track】
1~15.Strength and Anger
16.Black Anger (Hate Meditation 1)
17.Interchange
18.Midnight Strength, Black Anger (Hate Meditation 2)

【Review】
歪んだ顔のアートワークが印象的。レビューしているのはNorse League Productions盤。THAさんが興したWolfsgray(曲が少ないみたいだが)と最近になってSeason of Mistから再発(アートワークが随分と違うので注意)している。

#1-#15までStrength and Angerと冠した曲がズラリと並ぶ。彼の音源の中でもミニマルさとノイジーさが特に際立っている作品である。プリミティヴを通り越してノイズに片足突っ込んだ様な印象を受ける音源であり、正にアルバム名通りの音をそのまま体現しており”力強さと怒り”に満ちあふれている。

1曲に付き、たった2、3個のリフを武器に淡々と進んで行くゴリ押しで強気の曲調、これまでの路線を更にデフォルメした様な喧しくも歪んだ音を只管繰り返す。ある種の陶酔感が得られる作品となっているおり、#10辺りは洗脳されそうなメロディが入っていたりする。また、大半がヴォーカルレスの楽曲だが、ヴォーカルが入る部分に関しては恐ろしい程の気迫があるのも今回の聴き所では無いだろうか。

本作に限ったことでは無いのだが、ブラック・メタル好きでも好き嫌いがハッキリと分かれそうな作風故に誰にでも対応できる気の利いた音源では無い。メタル畑の方よりかはノイズやハードコア畑の方に好まれそうな印象のアルバムだろう。因みに#16と#18はこれまでの勢いを削ぐような感じでやたらと長尺なノイズ・アンビエントが入っている。

 

Svartfråd

EP(1996)/From:ノルウェー/Style:プリミティヴ

ildjarn_ep1

【Track】
1.I anmarsj gjennom grangrunn
2.Ved tjernets bredd
3.Vintermark
4.Skogens hatefulle skapning

【Track】
Nidhoggとの共同作品。名義が【Ildjarn-Nidhogg】になっている。Norse League Productionsよりリリースされた。

アートワークにおいても湿地に佇むブタと、自然崇拝っぽくなってきた様に思える。ここでヴォーカルを演っているのはNidhogg(素晴らしいヴォーカルワークだ!)であり楽曲は1994年に発表した”Norse”とほぼ代わり映えしない様な気がする(笑)デモ音源レベルのヒスノイズが気になってしょうがない音源だが、軽快なリズムに乗って放たれるIldjarnサウンドであり、イキの良いサウンドが楽しめる。

尚、割りと楽曲に展開がある様に思えるのはNidhoggが参加しているからだろうか?彼が参加している作品は概ね聴きやすい作りになっている印象である。尚、#4はダークアンビエント。EPで10分弱しかないので、一瞬で終わる作品だがIldjarnの作品の中でも確実に聴きやすい部類に入る。

 

Forest Poetry

4THフル(1996)/From:ノルウェー/Style:プリミティヴ

ildjarn_4th

【Track】
1.Whispering Breeze
2.Blackened Might
3.Clashing of Swords
4.No Gleaming Light
5.Blazing Eye
6.Sinking Deep
7.Chill of the Night (Returning)
8.The Blade Flares in Red Light
9.Deepening in Grey
10.Midnight Interval
11.Descending
12.Away with the Dawn
13.Before My Eyes Forever
14.Reflecting Mountains
15.Brother of the Forest
16.Dead Years
17.Dark December
18.Cold and Waste
19.Visions of the Earth (2nd Returning)
20.Risen Seeds of Time
21.Winter Embrace
22.No Place Nowhere

【Review】
Norse League Productionsよりリリースされた音源。現時点でWolfsgray(ボーナス曲が大量に入ってる)とSeason of Mist(アートワークが違う)から再発されている。

Forest Poetry…森の詩。一応、自然崇拝らしいタイトルが付いているが、いつも通りのノイジーサウンドである。徹頭徹尾、Ildjarnサウンドを貫いており、何も変わらない…いや、変わっちゃイケない脅迫概念に囚われているかの様な作風(笑)相変わらず単調に掻き鳴らされるミニマルに拘ったリフ、突然終わる曲、魅力的で邪悪なヴォーカルと全てが予定調和通りの事運び。矢継ぎ早に繰り出されるコンパクトで「全部、同じやん」と言われても決して文句は言えない楽曲群…。

だが、このアルバム、数多のIldjarnサウンドの中でも非常にカッコ良い仕上がりなのである。インストやアンビエントといった要素を極力排除しており、ヴォーカルレスの楽曲が何気に無いのがポイントの一つだろう。(アウトロ的な最後の曲を除く)また、全体的な音のバランスもIldjarnサウンドの中で最適解を取った様な耳触り。ノイジーさ、邪悪さ、ミニマルさ…Ildjarnを構成する全ての要素が引き立っていると思う。

一本調子も極めると痛快…そんな作品ではないだろうか。それくらいIldjarnの魅力が詰まった作品だ。#16辺りから音が一段と悪くなってアルバムを通して安定しない音質もいつもの事だ(笑)Good!

 

Son of the Northstar

EP(2001)/From:ノルウェー/Style:プリミティヴ

ildjarn_ep2

【Track】
1.Kronet
2.Fjerde dag
3.Minnesjord
4.Mot kveld
5.Hafsval

【Revew】
Full Moon Productionsより限定1000枚でリリースされたモノ。実際には1995年にリリースされる予定だったが、長らくお蔵入りになっていた音源を再発したモノだそうだ。

この音源には【Emperor】のIhsahnがヴォーカルで参加している。やはり、素晴らしいヴォーカルワークを聴かせてくれる作品であるが、実は#1と#2に関してはIldjarn(93年Demo)と被っている。また、実際にIhsahnの邪悪ヴォイスが聴けるのは#1と#2だけであり、残りはインストである。

所謂、コレクター向けアイテム。

 

Hardangervidda

5THフル(2002)/From:ノルウェー/Style:アンビエント

ildjarn_5th

【Track】
1.Sunrise
2.Daybreak
3.Amber Lake
4.Northern Winds
5.Blissful Mountain View
6.After the Rain
7.Nature’s Church
8.Fleeing Herd
9.September
10.The Ermine
11.Frozen Plain
12.Sunset
13.Night

【Review】
Norse League Productionsよりリリース。今回、再びアンビエント路線に舞い戻るのだが、本作では仲の良いNidhoggとの共同作品。

自然崇拝が色濃く出たアンビエント作品なのだが前作より音色が増え、筆者の様なアンビエント素人が聴いてもパワーアップしている印象。前回に比べ楽曲にちゃんと題名が付いており、感性や想像に頼らなくても良くなった親切設計だと言えよう。概ね題名を思い浮かべながら聴くとキッチリと感動できる作品である。前回が生粋のアンビエント過ぎたのに対し、今回は主題がシッカリしているので聴きやすい。

いや、これがホント、マジで美しい。

目の前に北欧の自然あふれる情景がキッチリと目に浮かぶ。恐らくアンビエントの素養が無くとも理解に難しくない分かりやすさがあるので心動かされるかと思う。少し書いてて恥ずかしいが、なんだか胸の奥の方が暖かくなってくる感覚。例えば#5の”Blissful Mountain View”なんかヤバイ(笑)

優しくも厳格な山脈が見える!私にも見えるぞぉぉぉぉ!(笑)って叫びたくなる事請け合い。

これって結構凄いことだと思う。前回のアンビエント作品でも書いたようにIldjarnのマニアやコレクターでも無ければ素直にスルー推奨….とは絶対に書けない(書きたくない)素晴らしさがある。

 

Hardangervidda part 2

EP(2002)/From:ノルウェー/Style:アンビエント

ildjarn_ep3

【Track】
1.Overture part 1
2.Overture part 2
3.Highlands part 1
4.Highlands part 2
5.Spring
6.The Troll Dome
7.Nature’s Church part 2

【Review】
Norse League Productionsよりリリースされた。前作のパートⅡと言うより収まらなかった分をEPとして出したと言う認識であってるのだろうか?ともかく続編である。当然ながらNidhoggも参加している。

前作とほぼ同路線。何故か短い序曲(Overture)が立て続けに2曲入ってたりするが順番間違えてないか?と心配になる(笑)邪悪な部分はまるでない自然の賛美が淡々と綴られるのである。

相変わらず美しい….が、前作の方が作品としてインパクトは強かった様に思う。

まぁEPという性質上、短いってのがあるのだが。本作における聴き所はなんといっても#5と#6だろうか。そのまんまだが#5は本当に陽気な春だし(笑)、#6はトロールと言えど怖いイメージのヤツでは無く、ムーミン系の滑稽なイメージ。平和に暮らしている感じが凄いよく出てると思う。しかも音(雰囲気)が可愛らしい(笑)

もはや通常運転時(ダークサイド)とアンビエント・モード(ライトサイド)の振り幅がスゴイ事になっている。これぞ二面性の極地。

 

1992-1995

Comp(2002)/From:ノルウェー/Style:プリミティヴ

ildjarn_comp2

【Track】
1.Intro
2.Dark December
3.Kronet
4.Strength & Anger 1
5.Himmelen svartner
6.Der det skjulte lever
7.Whispering Breeze
8.Inanimate
9.Mørket slynger seg
10.Skogrommet
11.Blackened Might
12.Strength & Anger 2
13.Dead Years
14.Taakeheim
15.Chill of the Night (Returning)
16.Strength & Anger 4
17.Skogssvinet
18.Visions of the Earth (2nd Returning)
19.The Blade Flares in Red Light
20.Utsyn 3
21.Svarte fjell
22.Away with the Dawn
23.Utsyn 6
24.Clashing of Swords
25.Et glimt
26.Cold and Waste
27.Tildekket og kald
28.Krigere

【Review】
Northern Heritage Recordsよりリリースされたモノ。所謂、Ildjarnの仕事集。ある意味ベスト盤といっても差し支え無いだろう。大半の曲が被っているので完璧にコレクター向けアイテムである。尚、リマスターでもされていれば報われるんだが、そういった気の利いた事でも無さそうである(笑)

一応、この中の目玉は未発表の楽曲の#1と#8のみだろうか。しかもダークな短いイントロといつも通り代わり映えのしないの短いIldjarnサウンド一曲のみ(笑)初めてIldjarnに触れたいが、どれから聴こうかと悩むのであれば、これ一枚で済ますってのもアリかと思う。一体どのような基準で選曲しているのかはワカラナイが、主に”Ildjarn”と”Forest Poetry”を軸に構成されている模様。勿論”Strength & Anger”からも何曲か入ってる。

満遍なく主要なダークサイドのIldjarnヒストリーを効率良く、たった一枚で体感するならコレ一択。

 

Ildjarn-Nidhogg

Comp(2003)/From:ノルウェー/Style:プリミティヴ

ildjarn_comp3

【Track】
1.Eksistensens jeger
2.Mørklagt sti
3.Svarte hjerter
4.Nattens ledestjerne
5.Natt og tåke
6.Bak to lysende øyne
7.Svart dag (The Nothingness)
8.I anmarsj gjennom grangrunn
9.Ved tjernets bredd
10.Vintermark
11.Skogens hatefulle skapning
12.Skogen av jern
13.Untitled

【Review】
Northern Heritageよりリリース。こちらは【Ildjarn-Nidhogg】の仕事集。Norse(リマスターされているらしい)とSvartfråd、そして未発表音源が入っている。因みに未発表曲は#1、#5、#6、#7、#12、#13。

やはりNidhoggが関わると非常に聴きやすくなるのがハッキリと判る好盤だろう。未発表曲の中には、これまでのスタイルとは一味違う側面が垣間見れたりする。例えば#1のEksistensens jegerは雪原を思わせる様なオーソドックスなノルウェイジャン・スタイル(ギターの音がかなり変。もしかしてシンセでやってる?)。また、#7のSvart dag (The Nothingness)ではインストであるが、極寒シンセをフンダンに絡ませたアトモスフェリックなスタイルを演ってたりする。単にオーソドックスになっただけ…と捉えることも出来るだろうが、彼らにしてみれば異色作だろう。特に#7の路線でアルバムを一枚出してくれると非常に良い作品ができそう。

ともかくIldjarnの作品の中でもNordicさが滲み出た屈指の聴き易さを誇る音源集だ。Good!

 

Nocturnal Visions

EP(2004)/From:ノルウェー/Style:プリミティヴ│ノイズ

ildjarn_ep4

【Track】
1.Nocturnal Massacre
2.Nocturnal Gathering
3.Death Dynamics
4.Strength & Anger V (Winter Recital Version)
5.Nattens skyggesider
6.Strength & Anger VII (Hammer Torture Version)
7.Ending(Solitary / No. Visions Rev. / Closing Recital)

【Review】
Northern Heritage Recordsよりリリース。紙ジャケ仕様。

#1-#3は1992年-1995年の過去音源だそうだが、所謂、蔵出し的な位置付けであろう。#1はノイズ・アンビエント風のインスト、#2は非常にドゥーミーで不気味なインストチューン(激渋!)、#3はやたらRawで少しオールド・スクールに片足突っ込んでいるような邪悪な曲、以後はStrength & Angerのヴァージョン違いなどが収録されている。Strength & Angerのヴァージョン違い辺りはノイズが一周り凄まじくなっておりヴァージョン違いとは言えやはり強烈(笑)また、ラストのエンディングもどう反応して良いかワカラナイ適当さ(?)があったりと、総じてIldjarnマニア向け作品となっている。

ノイズの塊EPといった所だろうか(笑)

 

Ildjarn is Dead

Comp(2005)/From:ノルウェー/Style:プリミティヴ

ildjarnisdead1

【Track】
Disc 1
1.Silence / Analogics; Vinyliac – Mindache
2.Intro / Unknown Truths1(2nd Session Version)
3.Unknown Truths 2(2nd Session Version)
4.Unknown Truths 3(2nd Session Version)
5.Unknown Truths 4(2nd Session Version)
6.Unknown Truths 5(2nd Session Version)
7.Unknown Truths 6(2nd Session Version)
8.Silence / The Logics of Pain
9.Succumb… (The Mutilation Theme, 2nd Session Version)
10.Death Dynamics (Intermediate Version)
11.Nocturnal Gathering (2nd Session Version)
12.3rd Unknown Harmony
13.Silence / Seven Harmonies of Unknown Thruths Pt.1
14.Seven Harmonies of Unknown Thruths Pt.2
15.Seven Harmonies of Unknown Thruths Pt.3
16.Seven Harmonies of Unknown Thruths Pt.4
17.Seven Harmonies of Unknown Thruths Pt.5
18.Seven Harmonies of Unknown Thruths Pt.6
19.Seven Harmonies of Unknown Thruths Pt.7
20.Death Dynamics (Original First Session Recording)
21.Silence / Pain
– Succumb…(The Mutilation Theme; Final Cut)
22.Nocturnal Gathering(Virgin Mix)
23.Buried Alive by Life
– Mass Nocturnal – Grief vs Death
24.Mass Nocturnal Closing
– Buried Alive by Life II – Voice of Death
25.Echo from the Chambers of Death; Relief
– The Escape Entering Timeless Nothingness

Disc 2
1.Intro: Innferd
2.Kronet
3.Sola skjultes
4.Ild
5.Fjerde dag
6.Et glimt
7.Støv og aske
8.Ode
9.Utsyn, del 1
10.Utsyn, del 2
11.Utsyn, del 3
12.Utsyn, del 4
13.Utsyn, del 5
14.Demring
15.Minnesjord, del 1
16.Minnesjord, del 2
17.Minnesjord, del 3
18.Minnesjord, del 4
19.Minnesjord, del 5
20.Minnesjord, del 6
21.Myrkvar
22.Dalens ånd (Avslutning)
23.Unreleased & Unfinished 93-94 Ⅰ
24.Unreleased & Unfinished 93-94 Ⅱ
25.Unreleased & Unfinished 93-94 Ⅲ
26.Unreleased & Unfinished 93-94 Ⅳ
27.Unreleased & Unfinished 93-94 Ⅴ
28.Unreleased & Unfinished 93-94 Ⅵ

【Review】
Ildjarnの2枚組デモ音源及び初期マテリアル音源集。最後に相応しいA5のパッケージで豪華二枚組。全53曲(!?)、おまけにメッチャ細かい文字でビッシリと埋まった文章が綴られた紙が入っている。(細かすぎてオッサンの視力じゃ読めない/笑)Northern Heritage Recordsよりリリース。お腹一杯Ildjarnを楽しめる音源となっている。

いよいよ最終章、膨大な音の記録である。これを最後に活動に終止符を打ち、現在はどこぞの山奥で隠居生活をしているらしい。さて、ここで最大の目玉となるのは92年発表デモ音源”Unknown Truths”と”Seven Harmonies of Unknown Thruths”そして未発表&未完成(笑)の楽曲が入っていると言う事だろう。尚、”Seven Harmonies of Unknown Thruths”に関しては単品でEisenwald Tonschmiedeなるレーベルより2013年にオリジナルとリミックスがそれぞれ収録されてCD化されているそうだ(未入手)

–Disk-1–

ildjarnisdead2
Unknown Truths#1-#7
恐らく、92年の初デモ音源”Unknown Truths”にイントロを追加した音源だろう。この頃はまだ一般的なIldjarnスタイルが確立できていない感じで、Ildjarnらしい毒があまり感じられない。所謂、普通にミニマルなプリミティヴ・ブラック・メタルになっている。曲によっては緩急もあるし、音もいつもの様な尖りはまだない。だが、ここからIldjarnが始まった事を考えるとやはり感慨深いものがある。
未発表音源#8-#12
先のEP”Nocturnal Visions”に収録されていた曲”Death Dynamics”や”Nocturnal Gathering (2nd Session Version)”も入っている。インスト中心ではあるがUnknown Truths(#1-#7)と路線は全く変わらない。
Seven Harmonies of Unknown Thruths#13-#20
実はここでヴォーカルを演っているのは元【Emperor】のSamoth!因みにここではSamotと名乗っている。貴重なSamothのヴォーカルが聴けるって事が最大の聴きどころだろうか?楽曲の奥の方で雰囲気ある絶叫を聴かせてくれる。演奏の方は割りと展開のあるオドロオドロしい雰囲気を携えたミドルチューンが中心のプリミティヴ・ブラック・メタルである。邪悪さはあるが特有の毒はまだ無く、やはり音に関しては普遍的でまだ尖っていない印象。
未発表音源#21-#25
この#21-#25で聴かれる音源は多彩なインスト・チューンである。先のEP”Nocturnal Visions”に収録されていた曲”Nocturnal Gathering”がよりオドロオドロしくなったヴァージョン(Virgin Mix)で収録されている。続いて、ちょっとエレクトロなダーク・アンビエントだったり、神秘的な空間の広がりを感じさせ、何処と無くスピリチュアルなアンビエントが入ってたり、割りと幅広いインストチューンを堪能できる。

–Disk-2–

ildjarnisdead3
Ildjarn 93(#1-#8)
傑作デモ音源!【Emperor】のIhsahnが参加しておりヴォーカルワークが素晴らしい音源である。因みに”Det frysende nordariket”にも収録されている。詳しいレビューはそちらを参照。
Minnesjord – The Dark Soil(#9-#22)
Ildjarn単独でのデモ音源。ミニマルさとノイジーさを確立させたといっても過言ではないデモ音源である。こちらも”Det frysende nordariket”に入ってた音源と同じ。詳しいレビューはそちらを参照。
Unreleased & Unfinished 93-94(#23-#28)
タイトル通り、未発表及び未完成の音源。正真正銘のマテリアル音源だろう。当然ながらヴォーカル・レス。未完成とは言え、彼がこれまで残してきたヴォーカルレスの楽曲がそのまま入っているようなモノである(笑)この様な未完成のマテリアル状態をぶち込んでいる事から察するに、Disk-2はコアなファン向けのオマケ・ディスクとしての性質が強いという事がわかる。

 

A Homage To Ildjarn

Gathered Under The Banner Of Strength And Anger

V.A.(2004)/From:–/Style:–

ildjarn_Tribute

【Track】
1.Grimfaug:Nattens Ledestjerne
2.Grimfaug:Ild
3.Xasthur:Chill Of The Night (Returning)
4.Xasthur:Der Det Skjulte Lever
5.Nachtmystium Kronet
6.Nachtmystium Bak To Lysende Oyne
7.Leviathan:Dark December
8.Leviathan:Nocturnal Gathering
9.Obscure:Svarte Hjerter
10.Obscure:Krigere
11.Forgotten Tomb:No Gleaming Light
12.Forgotten Tomb:Moerklagt Sti
13.Haat:Ved Tjernets Bredd
14.Haat:Natt Og Taake
15.Urfaust:I Anmarsj Gjennom Grangrunn
16.Urfaust:Skogens Hatefulle Skapning
17.Orcrist:Intro / Unknown Harmony
18.Azaghal:Kulde / Skogens Hatefulle Skapning
19.Volkurah:Strength And Anger XV
20.Volkurah:Lydloest Over Aasen
21.Excrucio:Strength And Anger V
22.Excrucio:A Farewell

【Review】
言わずと知れた【Ildjarn】のトリビュート・アルバム。

|Target:Earth| Productionsの前身レーベル Pestilence Recordsよりリリースされた。(現時点でレーベルは閉鎖している)尚、参加バンドは以下の通り。(トラック順に記載)

・ベルギーの【Grimfaug】
・アメリカの【Xasthur】
・アメリカの【Nachtmystium】
・アメリカの【Leviathan】
・オランダの【Obscure】
・イタリアの【Forgotten Tomb】
・オランダの【Haat】
・オランダの【Urfaust】
・イタリアの【Orcrist】
・フィンランドの【Azaghal】
・カナダの【Volkurah】
・ポーランドの【Excrucio】

それぞれのバンドが2曲づつ提供しているが、何故か【Orcrist】と【Azaghal】だけ一曲のみの提供となっている。アングラ実力派(強者)バンドから、勉強不足ながら存じ上げないバンドまで幅広く収録されている。

ブックレットにはイギリスの詩人アルフレッド・テニソンの詩の一節(?)だと思しき詩が綴られているのだが、一番最後の【Excrucio】が演っている”A Farewell”の歌詞そのまんまなのである。

【Grimfaug】
元々ある【Ildjarn】のミニマルさをリズムに緩急を付けてカヴァーしている。よってミニマルには聴こえない。普通にカッコ良い疾走プリミティヴ・ブラック・メタルに仕上げている。まるで【Ildjarn】に聴こえない。何と言うか…普通やん(笑)

【Xasthur】
割りと忠実にカヴァーしている様に思う。やはりエフェクトが掛かったヴォーカルがそれっぽくノイジーでありながら、篭った音質等が寄せてるなぁ。と言った印象。が、そもそも、【Xasthur】自体がそういった気質の独りブラックなので、予定調和通りの出来栄えと言えるのでは無いだろうか?まぁ、そのまんま【Xasthur】の音。

【Nachtmystium】
演奏に関しては忠実。ただ、キンキンした脳天に突き刺さりそうな高音絶叫にエフェクト掛けまくりのヴォーカルがある意味【Ildjarn】より強烈。振り切れて極端な気もするが、それを含め、元々もっている【Ildjarn】のノイジーさを追求、ディフォルメした結果なんだろうと思う。まぁ、やり過ぎの域ではある。

【Leviathan】
よりグチャグチャな音質でオドロオドロしくもグロテスクな感じにも聴こえるが、一聴して【Ildjarn】だと判る。まぁ、【Ildjarn】屈指のキャッチーな曲から選曲でもあるので当然といえば当然か。#8の”Nocturnal Gathering”も【Leviathan】らしい選曲。どちらもナイスな出来栄えだと思う。【Leviathan】の色も出せてるし良いカヴァーだと思う。

【Obscure】
素性は知らないバンド其の一。ヴォーカルは本家より感情の起伏があるスクリームを出しているかもしれない。何よりも選曲が激渋じゃないだろうか?”Krigere”のジワジワ這い寄るような感覚が出ていてGood。

【Forgotten Tomb】
ドゥーム色を絡ませて欲しかったんだが、残念ながら彼らの色は封印されており忠実に演っている。ガレージ録音みたいでRawな感じが凄くするのも、きっと狙って演っているんだろうなぁと思う。無難でカッコ良いが、まぁ特筆するような点は特に見当たらない。

【Haat】
素性は知らないバンド其の二。これまた忠実。#13の”Ved Tjernets Bredd”が【Ildjarn】の楽曲の中でもトップクラスにカッコ良い曲。ホント選曲が良い。これは間違いなく良カヴァー。【Ildjarn】の良さを削いでないと思う。

【Urfaust】
やはり、このバンド、ヴォーカルに特徴ありますな(笑)演奏はマトモだが思いっ切り気狂いのヴォーカルが木霊する。苦悶に喘ぐ絶叫にも悲鳴にも聴こえる変態ヴォイスが楽しめる。「ひぃ~~あぃぃぃぃ~あぅぅぅ~」とかの連発(笑)#16は彼らの個性が爆発していおり今回収録されているカヴァー曲の中でも一際に気味が悪く、アレンジも邪悪だッ!こう言うカヴァーが欲しかった(笑)

【Orcrist】
素性は知らないバンド其の三。少ない情報のブックレットによると、どうやら歌詞は【Orcrist】オリジナルみたいだ。(きっと本家が何言ってるのか判らなかったんだろう/笑)ドラムにエフェクトかけてるんだと思うのだが、音のバランスが色々とおかしい。輪をかけてショボくなってないか?(笑)

【Azaghal】
フィンランド屈指のベテラン・バンドかつ個人的に大好きなバンドの一つ。エコーの掛かったねちっこいヴォーカルにバシバシなる打ち込み(?)ドラム、【Ildjarn】には聴こえないが呪術的感覚をグッと強めており、コレはコレで気色悪くアレンジしている。

【Volkurah】
素性は知らないバンド其の四。特に面白みの無いカヴァー。”Strength And Anger XV”は原曲通りもっとノイジーにした方が雰囲気出てたかもしれない。忠実ではあるが刺激が薄まった様な感覚。つーことでオリジナルの方が断然カッコ良い。”Lydloest Over Aasen”の方は逆に忠実で特に面白みが無い凡カヴァー。

【Excrucio】
素性は知らないバンド其の五。ヴォーカルレスのカヴァー1曲と【Ildjarn】の発表されている全楽曲中には見当たらない謎の曲”A Farewell”なる曲を演っている。実のところアルフレッド・テニソンの詩をそのまんま乗せており、【Ildjarn】に捧げるオリジナル曲といった位置付けで良いのだろうか?

と駆け足でレビューしたが、単調でミニマルながらも、マニアを惹きつける魔力が宿っている…という事がよくわかる良トリビュート・アルバムでは無いだろうか?非常に興味深く、大変面白い作品だった。