Thulcandra

Fallen Angel’s Dominion

1STフル(2010)/From:ドイツ/Style:メロディック

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【Track】
1.In the Realm of Thousand Deaths
2.Night Eternal
3.Fallen Angel’s Dominion
4.Frozen Kingdom
5.Everlasting Fire
6.Spirit of the Night
7.Legions of Darkness
8.In Silence We Eternally Sleep
9.The Somberlain (Dissection cover)

【Review】
3人組ブラック・メタル。【Dark Fortress】のSeraphがゲスト・ドラマーとして参戦している。尚、老舗レーベルNapalm Recordsからリリースされた。アートワークにネクロロードを起用、死神のイラストと寒々しい情景が全てを物語っている。

そう、何を隠そう【Dissection】フォロワーなのである。しかもかなり露骨な(笑)

音の方も、包み隠さない堂々たるフォロワー・バンドであり#1のインストから#2へ繋いでいく展開や#5~#7に掛けてのモロな曲の出だし、更には”Night Eternal”や”Frozen Kingdom”などの曲名だったり、随所に笑ってしまう程のリスペクトっぷりが見受けられる。また楽曲の路線で言えばジャケット通り、本家の2NDに割と近かったりする。数多のフォロワーでも取り分け【Dissection】に対する意識が他より頭ひとつ突き抜けてる。

だが、実際にはこちらの方がメロデス要素が強いといった印象で、突如としてメタリックに刻むリフや随所に色気にあふれた叙情味溢れるギターソロが入ってたりする点にて顕著。そういったオーセンティックなメタルを大前提にした数々のギミックがこのバンドの持ち味(特色)となっている。

ただ、本家の最大の持ち味であった”邪悪さと叙情味の絶妙な鬩ぎ合い”までは完全には再現出来ておらず、邪悪さよりかは叙情味の方が上回っている様に感じる。本家がメロデスとブラックの中間にある音楽性でありながら、その邪悪さと徹底した冷気から”完全にブラック・メタル”として語られている事に対して、こちらはメロデスとして語られるべき成分の方が明らかに強いといった感じであろうか。

…とは言え、数多のフォロワーよりも一番忠実にそれっぽい音を出しているので互換性としてはこれ以上の音源は恐らく無いだろうと思われる。

勿論【Dissection】を知らなくても大いに楽しめるのは言うまでもない。Great!

ラストは本家の超名曲を忠実にカヴァー。

 

Under a Frozen Sun

2NDフル(2011)/From:ドイツ/Style:メロディック

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【Track】
1.In Blood and Fire
2.Black Flags of Hate
3.Ritual of Sight
4.Under a Frozen Sun
5.Aeon of Darkness
6.Echoing Voices (A Cold Breeze of Death)
7.Gates of Eden
8.Life Demise (Unanimated cover)

【Review】
正式にSeraphがメンバーに加わり4人体制になった。また今回はゲストに【Dark Fortress】のV. Santura、そして【Shining(Swe)】のPeter Hussが参加。それぞれギターで参加している模様。今回もネクロロードのアートワーク、そしてNapalm Recordsからのリリース。

露骨な【Dissection】フォロワーから完全なる脱却。もう【Dissection】の面影はあまり感じられない。

とは言え、それっぽい路線である事には変わりがなく元々の個性が【Dissection】っぽさを食ってしまった様な内容。ダークで陰りのあるトレモロ・リフと流麗かつ叙情的なギターソロを盛り込み、疾走する様は正に90年代スウェーデン産メロデス/メロブラへのラブレターとでも言わんばかりである(笑)

だが、単に90年代を再現するだけではなくしっかりと絡み付く派手さ一歩手前の色気あるギターソロがこのバンドならではの味付けになっており、あまりクドくもない良い塩梅で踏み止まっている辺りがGood。90年代の音源を浴びるように聴き育った身としては正にストライク・ゾーンだったりする。特に#5の突撃メロデスリフは何だか久しぶりに聴いた気がする(笑)

またラストに【Unanimated】(!)の名曲カヴァーが入っており懐かしさを通り越し、感極まって胸がジーンときた次第。まさかカヴァーされるバンドだとは思っていなかっただけに…。Graet!

 

Ascension Lost

3RDフル(2015)/From:ドイツ/Style:メロディック

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【Track】
1.The First Rebellion
2.Throne of Will
3.Deliverance in Sin and Death
4.Demigod Imprisoned
5.Interlude
6.Exalted Resistance
7.The Second Fall
8.Sorrow of the One
9.Ascension Lost
10.Outro
11.Perishness Around Us (demo)
12.Frozen Kingdom (demo)
13.Dreaming (demo)
14.Immortality (demo)

【Review】
4人組ブラック・メタル。今作もネクロロードがアートワークを担当しNapalm Recordsからのリリース。ボーナストラックとして2005年のデモ音源(リリースされていない初出し音源)が追加収録されている。

音の方は前作の延長でありながら個性を順調に伸ばしてきた作風で理想的な進化でお見事。しっかり自分たちの色を強め、更にはその個性が今度は90年代メロデス/メロブラ路線すら食ってしまった感もある。気付けば【Dissection】とは距離を取った音になっているし、90年代メロデス/メロブラとも微妙に違う独自の路線に辿り着いたのではないかと思う。しかも極端にイメージを変えずに一作ごとに自我を確立している点は特筆すべき点ではないだろうか。

何よりも随所で入り込むギターソロに色気が出てきており曲によっては妙に艷やかで官能的ですらあり、ハッとさせられる部分もチラホラ。また、前作まではやや疾走に頼っていた感があるのだが、少し勢いが控えめになりより緩急を強めた感じで総じてドラマティックになっている。そういった側面で言えばタイトル曲でもある#9~#10に掛けての流れが今作を象徴しているのではなかろうか?

着実に進化しているので次回作の着地が今から非常に楽しみなバンドである。

#11-#14は1STに収録されていた楽曲を含むデモ音源であり、荒々しい中にも往年のメロデスっぽさ全開!ゴキゲンなチューンである。Great!