The Epical Trilogy of Vorlaufen I: Night Master

2007(1STフル)/From:中国/Style:アヴァンギャルド│アトモスフェリック

【Track】
1.Intro: Supreme
2.Unseen World
3.Doomsday
4.Civilization
5.Night Master
6.Generation
7.Within Cloud

【Review】
インド神話に登場する天空神”ヴァルナ”の名を冠する二人組ブラック・メタル。中国のDying Art Productionsなるレーベルからリリースされている。

何とも壮大なイントロから感じられるは無限に広がる宇宙空間!…という事で宇宙の神秘にブラック・メタルを見出したコズミック・ブラック・メタルの類であるが、同じく宇宙繋がりで【Darkspace】なんかと比べてみると明快な骨格を持つメタルとして実にわかりやすい作風。しかしながら【Darkspace】の様に宇宙空間の虚無的な暗黒をアンビエント風に描いたドス黒さはなく、どちらかと言えば宇宙船に乗って宇宙の謎を解き明かすべくアクティヴに探索している位のニュアンスの違いがある(笑)

言わば、ちょっとダークな「21世紀宇宙の旅」的な壮大さとでも言えようか。

ギターは些かブラック・メタルらしくないメタリックな刻みリフを多用。電子音とかも随所で挿入されており、総じてインダストリアル風味ではあるモノのギリギリの線でインダストリアルではないような展開が多い。また、随所で奏でられるリードギターは宇宙の浪漫を連想させるような割と壮大なメロディを絡めており、アトモスフェリックなシンセパートなんかも大胆に盛り込んでいる事から若干プログレ気質な所も。

またブラック・メタルでありながら自己主張が割と強いベースが楽曲をまとめる中、お約束の様に邪悪なヴォーカルが乗っかっているという”ブラック・メタルの要素は最早ヴォーカルのみ”といった路線を地で行くスタイル。概ねそういった展開が軸になっているので、ブラック・メタルという括りで考えるとやや独特な味わいである。

壮大なスペースオペラ的な印象もあるが、全体的にややB級感が漂っているので、そこを面白いと感じるかどうかで評価が分かれそうな作風ではあるが、伸び代といった面では期待できるし、B級感を払拭し更にブラッシュアップさせると、ひょっとして、かなり面白い作品に仕上がったんでは?と想像に難しくない程の個性とポテンシャルをこの作品から存分に感じられる。

次回作に期待!